SUSTAINABILITY
サステナビリティ経営を通じた、
課題解決と企業成長の実現
執行役常務 CAO 兼 CRO 兼 CHRO※
金原 章
チーフ・アドミニストレイティブ・オフィサー、チーフ・リスク・オフィサー、チーフ・ヒューマン・リソース・オフィサー
三越伊勢丹グループは、2023年に再整理した企業理念のもと、事業活動を通じてお客さまの暮らしを豊かにすることを目指し、「サステナビリティ基本方針」と4つの重点取り組み(マテリアリティ)に基づいたサステナビリティ経営を行っています。
重点取り組み①の「人・地域をつなぐ」は、百貨店を中心とした当社グループならではの独自性のある活動です。現在、日本は少子高齢化や地域間の経済格差という大きな社会課題を抱えています。私たちはこの課題に向き合い、店舗のある地域はもとより、バイヤーが商品調達を通じてご縁をいただいた各地域の魅力を日本全国のお客さまにご紹介し、地域活性化への貢献に努めています。オンライン上の「三越伊勢丹ふるさと納税」「MOO:D MARK by ISETAN」は、このような役割を強く担う成長事業です。また、2023年7月に「商業+不動産」による複合開発プロジェクトとしてフィリピンで開業した「MITSUKOSHI BGC」での日本文化の発信や、国内店舗にご来店くださる海外からのお客さまに向けたおもてなしも、さまざまな人・地域をつなぐ私たちの重要な活動と考えています。
次に、こうした事業活動の土台となる「人権尊重」と「環境保全」の取リ組みについてお話しします。2023年度、私たちが特に力を入れているのが、重点取り組み②の「持続可能な環境・社会をつなぐ」の一つであるサプライチェーン・マネジメントの推進です。社会的に重要度が増しているサプライチェーンにおける人権と環境リスクへの対応を進めるべく、2023年6月に「お取組先行動規範」を新たに制定しました。上期はグループ従業員のうち約9千名が人権・環境リスクに関する教育を受講し、事業を行う上での責任への理解を深めると同時に、百貨店業を中心としたお取組先約6千社に「お取組先行動規範」についてのお知らせをいたしました。年度末に向けては、グループ会社のお取組先を含めて約1万社の皆さまに各社の人権・環境への取り組みに関するアンケートへのご協力をお願いし、対話を重ねることでお取組先と共に持続可能なサプライチェーンの実現を目指していきます。
また、環境保全に関するグループ内での取リ組みについては、伊勢丹新宿本店での「AIスマート空調システム」導入による省エネ推進や、三越伊勢丹物流センター(埼玉県所沢市)への太陽光発電による創エネの拡大など、2030年度の温室効果ガス排出量削減目標の達成に向け歩みを進めています。
毎年実施しているサステナビリティ活動に関するお客さまアンケートにおいても、「三越伊勢丹グループに一番期待しているサステナビリティの取リ組み」として、食品ロスの削減や温室効果ガス排出量の削減、リユース・リサイクルといった回答が近年増加しており、環境課題への一層の努力が求められていると認識しています。
もうひとつが重点取り組み③の「ひとの力の最大化」です。これは、従業員の働きがいと働きやすさを共に実現し、一人一人が最大限に能力を発揮できるよう「ダイバーシティ、エクイティ&インクルージョン」を推進する取り組みです。“働きがい”の向上のためには「生涯CDPの推進」、“働きやすさ”の向上のためには「ライフワークバランスの実現」を図り、これらを支えるコミュニケーションの土台として、引き続き「対話文化」の醸成をグループ全体で行っていきます。
これらの活動を通じて、2023年は「健康経営優良法人2023」への選定及び女性活躍推進法に基づく優良企業認定「えるぼし認定」の最上位である3つ星を取得しました。加えて6月には、「適正な労働時間管理」と「ハラスメント・ゼロ」に関する具体的な行動指針を示し、従業員皆が「安心して働くことのできる職場環境づくり」の実現を目指すことを労使共同宣言として発信しました。現在、再構築中の「中長期人財戦略」においても「ひとの力の最大化」を柱に据え、従業員の成長を「未来まで続く、唯一無二の企業グループづくり」につなげることを目指します。
私たち三越伊勢丹グループは、創業以来の長きにわたり、常に時代の半歩先を意識し、「あたらしい、豊かな暮らしと文化」をお客さまに提案し続けてきました。変化が激しいこの時代においても、ステークホルダーの皆さまとの対話を通じて私たちの果たすべき役割をしっかりと見定めることで、必ずや社会からの期待に応えられると信じています。
約3年間のコロナ禍を経て、いよいよこれから私たちのサステナビリティ経営の真価が問われるフェーズです。従業員一人一人がサステナビリティの方針を理解、共感し、事業活動と一体化させてPDCAを回して、その実効性を高められるよう、尽力してまいります。
執行役常務 CAO 兼 CRO 兼 CHRO
金原 章
2024年4月1日