SUSTAINABILITY
三越伊勢丹グループでは、店舗がある地域だけでなく、商品調達で縁をいただいた地域とも積極的に関わり、行政や企業と共に地域に根差した取り組みを行っています。既存の方法にとらわれず、百貨店業で培ったノウハウ、斬新なアイデアを活かし、地域社会の発展に貢献している「三越伊勢丹ふるさと納税」と「MOO:D MARK by ISETAN(ムードマーク バイ イセタン)」をご紹介します。
「三越伊勢丹ふるさと納税」は、当社グループが有する全国のネットワークと百貨店事業で培ってきたマーチャンダイジング力を強みに、バイヤーがこだわって選び抜いた百貨店品質の返礼品の紹介を通して地域の魅力を発信しています。
返礼品として紹介された地域の特産品が、百貨店が取り扱う高品質の商品として幅広い流通に乗り、ふるさと納税以外においても全国のお客さまに楽しんでいただけることを目指しています。
現在までに、319の自治体に参加表明いただき、掲載自治体数は305となりました(2023年11月15日時点)。今後も取り組みを拡大し、お取組先と共創し地域産業の発展に貢献することで、社会的責任を果たしていきます。
「MOO:D MARK by ISETAN(ムードマーク バイ イセタン)」は、住所を知らない相手にもSNSやメールなどでギフトを贈ることができるオンラインサービス。地域の食品や優れた工芸品などを当社グループの強みを活かして商品開発支援からPR、販売、それらの成果分析までをお取組先と一緒に取り組んでいます。
山口県山陽小野田市のガラス産業振興と知名度向上を目的として、2021~22年度のプロポーザル案件を(株)日本デザインセンターと共同で受託し、2022年2月に“高い芸術性と暮らしに取り入れやすいスタイル”をコンセプトとした同市のガラス造形作家によるガラスアートブランド〈CLASS GLASS〉を発表いたしました。
同市は、古くは窯業が盛んな地域で、地域文化の伝承・創造を目的に、市出身の著名なガラス造形作家の故・竹内傳治氏と共に、窯業の一つであるガラスに注目しガラス文化をテーマにしたまちづくりに注力してきました。
〈CLASS GLASS〉は、百貨店の店舗や、3,500点以上のギフトが揃う伊勢丹のオンラインギフトサイト「ムードマーク バイ イセタン」や「三越伊勢丹ふるさと納税」などの当社グループだけでなく、法人顧客や同市の飲食店向けにもご紹介しています。
本取り組みでは、当社グループが百貨店事業で培ってきた顧客接点やグループネットワーク等のリソースを活用し、パートナー企業と協業しながら、ブランド設計、デザイン設計、販売計画、販路開拓等の基礎からブランド化に向けて同市とタッグを組み、地域社会と共生するビジネスモデルの構築を目指しています。
当社グループでは、日本全国に店舗を有する強みを活かし、各地域の企業・団体・自治体などと連携して地域活性化に貢献しています。
百貨店各店舗では、地域の社会課題に、経営だけでなく従業員も主体的に行動できる体制を整備しており、お客さまが商品購入やイベントへの参加という形で協創できる仕組みを整えています。
2023年、伊勢丹は新宿出店90周年を迎えました。「このまちを、ステージに」をテーマに、新宿のまちの方々と一丸となって、さまざまな取り組みを実施しました。
10年後の100周年に向けて、このまちと挑戦をしつづけ、人びとの暮らしを豊かにすることを目指します。
丸井今井札幌本店では1992年から、下川商業高校販売実習会を行っています。
高校生の職業教育の充実と次世代の地域の担い手の育成を通じて、地域の持続的発展に貢献するために取り組み、今年で35回目となります。
販売実習会には3年生全員の32人が参加。生徒自身で販売戦略を練り、商品を仕入れ、魅力を伝える研究や、接客の練習などを重ね、地元特産品を販売します。生徒が地元の製麺会社と協働し、味の開発からラベル製作まで行ったオリジナル商品「とまとうどん」も出品。まちの魅力や商品のこだわりを丁寧に伝え、お客さまからは「明るく元気に応対する生徒さんに元気をいただいた。地域が活気づく」など感謝の言葉をたくさんいただきました。販売実習会を終えた生徒からは、充実感や自信に満ちた笑顔があふれていました。
今後も、将来の地域社会・経済の発展を担う学生へのサポートを通じて、地域社会への貢献につながる取り組みを進めていきます。
新潟伊勢丹では2016年3月から、新潟の地域価値向上に取り組む「NIIGATA 越品(ニイガタ エッピン)」プロジェクトを行っています。百貨店独自の視点で、衣食住にまつわる銘品を発掘・編集し、ご紹介しています。「売るより、価値を伝える」をコンセプトに、モノを売るだけではなく、その背景にあるストーリーやこだわりが伝わるよう、さまざまな形で提案、発信しています。
NIIGATA 越品ショップでは、まだまだ知られていない新潟ならではの食品や、優れた工芸品を数多く取り揃えています。より多くのお客さまに知っていただけるように、ものづくりの背景や、卓越した技術を接客やウェブサイトを通じて、丁寧にご紹介しています。お客さまからは「こんな素敵な商品をつくるメーカーが新潟県内にあったなんて知らなかった」「このショップに来ると新潟の知らなかった銘品に出合えてうれしい」など温かい声をいただいています。お客さまお一人お一人が思い描く新潟のイメージを「越える」すばらしい出合いがある「発掘感」あふれるショップづくりをし、現在では、約700アイテムを取り扱っています。
単なる商品・ブランドづくりにとどまらず、地域創生の視点に立ち、新たな価値創造・価値開発につながるよう、生産者や事業者、自治体の皆さまと共創し、「ここにしかないオンリーワン」をつくる取り組みを目指しています。
星ヶ丘三越は、地域社会との協創に取り組む「地域のパートナーズストア」として、2022年10月にリモデルオープンしました。地域のお客さまに寄り添いながら、より豊かな暮らしをお手伝いするとともに、近隣コミュニティと協力し、魅力あるまちづくりにも貢献しています。
2022年10月には、東海地方の輝くヒト・モノ・コトにフォーカスした「東海推しウィーク」を開催しました。今回初の取り組みとして実施した東山動植物園とのコラボレーション企画では、オリジナルアイテムの販売や、家族でのお出かけスタイル、行楽弁当をご提案し、相互送客・人流活性を生み出しました。そのほかにも、地元のブランドやアーティストをご紹介するなど、東海地区の新たな魅力を発信しています。
また、子ども・若者などの次世代支援にも積極的に参加しています。東山遊園(株)が運営する「星が丘テラス」と合同で、名古屋市千種区の幼稚園12施設に、組み立て式サッカーボールを寄贈しました。キットを組み立てる達成感や、プレイを通じたコミュニケーションなど、地域の子どもたちに学習の楽しさとスポーツの魅力を届けています。
隣接する椙山女学園大学とは、長年にわたり合同での取り組みを実施しています。星ヶ丘三越の社員がゼミに参加し、百貨店を取り巻く環境や課題点などをレクチャーしたうえで、学生自らが商品開発やパッケージデザイン、PR活動を実践しました。社会と関わりながら体験学習することで、マネジメント力を育成しています。今後もこのような取り組みを強化し、地域を活性化していきます。
(株)岩田屋三越では、農作物の育成や収穫を通して、従業員が主体的に地域の現状や社会課題を知ることを目的とした「岩田屋三越ファーム」プロジェクトを実施しています。
このプロジェクトは、2017年度に佐賀県唐津市「大浦の棚田」で米作りをしたことから始まります。その後、2018年度には、福岡県筑後市でお茶の栽培を、福岡三越屋上で屋上養蜂を、2020年度には熊本県菊池市で栗の栽培を開始し、同じ2020年度には銘茶のふるさと、福岡県八女市でもお茶の栽培を開始しました。育てる農作物の種類や作業する場所が増えることは、多角的な社会課題の発見につながっています。
最近は気候変動に伴い、九州地方は災害に見舞われることが増えています。その影響で、米作りは2020年度より地元、福岡県朝倉郡東峰村竹地区に生産の場を移しました。竹地区の棚田は、蛍の生息地の名所です。しかし、2017年の九州北部豪雨による水害で壊滅的な被害をうけ、蛍の姿はほとんど見ることができなくなりました。竹地区の棚田の復活と維持の一助となるため、2020年度から棚田米作りを開始。蛍が戻る日に向けて活動を続けています。
収穫した農作物は、商品として店頭で販売しています。中には、お中元・お歳暮のギフトになるものもあります。手間暇かけて農作物を育てることは、従業員の意識を変えています。また、商品の販売時にその体験をお客さまにお伝えすることで、農業を中心とした環境問題への関心を高めていただいています。
(株)岩田屋三越では今後もこの取り組みを強化してまいります。
三越伊勢丹グループでは、公共性の高い百貨店店舗を活かし、募金活動や商品販売を通じたチャリティ活動などを実施しています。また、地域の清掃活動や公益財団法人による奨学金給付事業を行うなど、社会貢献につながる活動を推進しています。
当社グループでは社会貢献の一環として、店舗周辺や地域の清掃活動を行っています。国内外からの旅行客など来街者が増えるなか、清潔できれいなまちづくりの一助となるべく、従業員によるごみ拾い活動を実施しています。
伊勢丹新宿本店の外商部は、新宿歌舞伎町での清掃活動に参加しています。伊勢丹新宿本店とパートナー契約を締結しているサッカークラブ「クリアソン新宿」のメンバーが地域リーダーを務める、NPO法人グリーンバードと共に活動。地域の企業、サッカー選手、歌舞伎町で働く方々、海外からの留学生など、業種を超えた方々とのコミュニケーションを通じて、社会的責任を果たしながら地域との結びつきを強固にしています。
緊急事態宣言の発出(2020年4月~5月)は、小売業だけでなく、様々な業態に影響を及ぼしました。
地域に元気を取り戻すため、宣言終了後、(株)静岡伊勢丹では、これまでのテイクアウト販売で培ったノウハウ(内容・価格)と場所や販売業務を、近隣の個人経営の飲食店7店に提供しました。
メニューがふえたことは、近隣の官公庁やオフィスにお勤めの従来からのお客さまはもちろん、「お弁当を買うことで少しでも役に立ちたい」というお客さまに好評で、連日完売しました。
この結果を受け、(株)静岡伊勢丹では地域社会への貢献により力を入れることになりました。2020年度より、静岡県と山梨県が共同で行っている「バイ・ふじのくに」に参画しています。
伊勢丹奨学会は、旧・(株)伊勢丹の創業家が1963年に財団法人として設立し、後に公益財団法人として認定を受けました。これまで約60年にわたり、東京都内および近隣県にある指定7大学の商業、経済および経営関係学部に在学する、学力優秀でありながら経済的理由により就学困難な学生を対象に奨学金給付事業を行っています。
2022年11月には、奨学生向けに有益な情報や交流の場を提供する「講演・交流会」を初めて開催しました。学生の関心が高い経営や新規事業開発秘話の講演は、多くの学生が興味深そうに聴講し、質疑応答も活発に行われました。
グループディスカッションでは、学生生活で力を入れていることをテーマにエピソードを共有。学校や学年を超えた仲間と積極的にコミュニケーションを深めていました。
(公財)伊勢丹奨学会では、今後も将来の社会・経済の発展を担う優秀な学生へのサポートを通じて、社会貢献に取り組んでいきます。
(公社)広島県就労振興センターおよび広島市就労支援センターの協力のもと、県内の障害福祉サービス事業所や特別支援学校が出店する「おひさまマルシェ」を年1回開催しています。
「おひさまマルシェ」では、障害福祉サービス事業所でつくられた食品や雑貨などを販売し、障がいをもつ方の経済的自立を目指すとともに、事業所の活動を広く知っていただく機会を提供しています。
2022年4月には、新型コロナウイルス感染症の拡大によりイベント出店の見合わせを余儀なくされた、広島県内約30の事業所に参画いただきました。2回目の開催を迎え、イベントの認知度が向上しており、売上が大きく拡大しただけでなく、障がいのある方のモチベーションアップにつながりました。本イベントをきっかけに、事業所同士が連携し、新たな販路や商品が生まれたという事例もあります。今後も、共生社会の実現に向けて、事業所・お客さまに喜んでいただけるイベントを目指してまいります。
社会貢献活動の一環として、キャッシュレスでチャリティにご参加いただける「三越伊勢丹グループ WEB募金・寄付サイト」を導入。クレジットカードをはじめ、エムアイポイントやふるさと納税制度を利用した寄付を実施しています。
(株)エムアイカードでは、ポイント交換サイト上で日本赤十字社への寄付ができるようになりました。集まりました寄付は、新型コロナウイルス感染症対策を含む、日本赤十字社の活動全般に役立てられます。
また、エムアイカード公式ホームページでは、新型コロナウイルスの影響で様々な活動の自粛などにより多大な影響を受けている食品業界を支援する取り組みとして、フードロス削減に取り組むサイトとの連携も行っています。
次の表は左右にスワイプしてご覧ください
期間 | タイトル | 金額(千円) | 実施店舗 | 寄付先 |
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10月 | ピンクリボン募金 | 57 | 専用サイト | 乳房健康研究会 |
24年1月 | 能登半島地震募金 | 6,627 | 専用サイトおよびグループ全店 | 日本赤十字社 |
年間 | エムアイカード1ポイント=1円としてお客さまから寄付 | 2,570 | エムアイカードウェブサイト | 日本赤十字社 |
3,382 | 東京国立博物館、国立科学博物館、京都国立博物館、鎮守の森プロジェクト、名古屋市観光文化交流局、鹿島神宮 |
海外店 | 金額(千円) |
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シンガポール伊勢丹 | 900 |
2024年3月末のレートで円換算