対談・インタビュー

SUSTAINABILITY

【インタビュー】多様な個性が“こころを動かす”原動力

2023.11.29

DE&Iの推進

#女性活躍

(株)仙台三越 代表取締役社長
小宮 仁奈子

※役職は2023年11月時点のものです。

今では“化粧品に詳しいひと”と社内で思われている私も、1998年に女性バイヤーとして初めて伊勢丹新宿本店の化粧品の仕入れを任された当時は、全く知識がありませんでした。慌てて美容雑誌で勉強し、休日は国内外の百貨店や専門店をめぐり、購入体験を通じて化粧品への理解を深めたものです。その後、化粧品を使う“顧客心理”から商品展開を考える力がつき、2008年に伊勢丹新宿本店に“女性の好不調を支えるかかりつけのビューティ薬局”をコンセプトとした「ビューティアポセカリー」を立ち上げるなど、お客さまと社会のために「実現させたい」と思うことが認められるようになりました。このショップが15年間もお客さまに愛され続けていることをうれしく思っています。このように「教えてください」と堂々と言える未経験分野ほど、多くを吸収し成長できる機会はありません。将来の可能性を踏まえて成長の機会を得られるのが当社の良いところです。

 

2022年4月に、私は(株)仙台三越の社長として着任しました。東北の要の仙台においても女性経営者は少なく、最初は戸惑いもありましたが、ダイバーシティ、エクイティ&インクルージョンの推進に関心をお持ちの経営者の皆さまが多く、これまでの私の経験を話す機会を与えてくださいました。講演会など1ヶ所で話すとほかでも話してほしいと依頼があり、参加された女性から個別に話を聴かせてほしいというご要望も多くなりました。“目に見える存在”はイメージしやすいのだと実感しています。今年、仙台三越では社内の昇格試験に臨む女性が増えました。昇格後の自分の姿を想起できる身近な存在が、これからもさらに多くなることを期待しています。

 

私は入社3年目で父の看取りで半年間看護のため短時間勤務をし、三越銀座店で営業部長を担っていた際も母の看取りで仕事を3週間休みました。現在はジェンダーを問わず、さまざまな時間的制約のなかで働く人が増え、周囲の理解はもちろん、自身もその限られた時間内で成果を出し評価される時代です。今、私の看護経験を同じような境遇の部下へのアドバイスに活かしています。経験から生まれる言葉は人の心を動かすことを、かつてバイヤーだった時にも、そして現在は仙台三越の社長としても実感しています。 さまざまな経験をした従業員一人一人の個性が、従業員だけでなく、三越伊勢丹グループを支えてくださる全ての皆さまの“こころを動かす”力になると信じています。

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