対談・インタビュー

SUSTAINABILITY

【インタビュー】お客さまの多様な価値観と、多様な事業と人財でつながるグループに

2023.11.29

DE&Iの推進

#女性活躍

取締役
石塚 由紀

※役職は2023年11月時点のものです。

当社におけるダイバーシティ&インクルージョン推進

2022年6月、社内出身で初の女性取締役に就任いたしました。私は1985年に(株)伊勢丹に入社したいわゆる男女雇用機会均等法第一世代で、これまでもいろいろな”女性初”を経験してきました。女性であることは自身の個性の一部なのですが、外形的に男性のみの集団に私が入ることで多様性が増すと思われてきました。女性の活躍の場が広がることは、男性のみの集団に違う視点をもたらす、有用かつダイバーシティの最初の一手です。

女性に男性と同様の就業機会すら与えられていなかった入社当時からすれば、企業におけるダイバーシティがその価値向上に欠かせないという認識が広がっていることは大きな進歩です。しかしながら、グローバルには数十年前から取り組まれていたダイバーシティ&インクルージョンというテーマが、日本では優先度が上がらず、現時点ではグローバル比較で劣後しています。

当社グループは従業員に女性が多く、現在では性別による活躍の場には差がほとんどないと言っていいでしょう。育児や介護、傷病にも合理的な配慮をもって制度が整えられており、働きやすい環境整備を確実に進めてきました。多くの職場で女性が活躍し、女性の管理職も着実に増えています。

一方、権限と影響力のあるポジションにおいては、まだまだ多様性が不足していると考えています。お客さまのご要望に真に寄り添うことのできる新たなビジネスモデルへの転換には、お客さまの多様な価値観に寄り添うことのできる多様な人財が不可欠であり、さまざまな個性を活かすマネジメントや個性的なリーダーが欠かせません。

そもそも百貨店事業は、首都圏だけでも年間約4,500万人ものお客さまをお迎えし、約2万6千社ものお取組先と協働することによって成り立っています。それ自体がすでに多様性を包摂しているわけで、当社側にダイバーシティ&インクルージョンがなければ、提供価値を最大化することはできません。私たちが目指す“特別な“百貨店’を中核とした小売グループには、ダイバーシティ&インクルージョンが欠かせないのです。

個に寄り添うマネジメントは、重要なテーマ

思い返すと、入社当初に学卒女性は異質な存在だったため、会社も預かった上司もどう扱っていいか試行錯誤していたように思います。職場には性別による役割分担も存在していました。入社直後の私は上司に恵まれ、過度な同調圧力もなく、期待役割を理解して働ける環境をつくっていただきました。先輩や同僚とも同じ目標に向かって頑張った良い思い出がたくさんあります。長年のキャリアにおいては困難な時期もありましたが、その時は内向きにならずにさまざまなネットワークに自ら支援を求めて、助言や励ましに力をもらってきました。これまで一緒に働いてきた方々に心から感謝しています。

誰でも自分に価値を感じて仕事で力を発揮するには、上司と同僚の支援が欠かせません。個に寄り添うことは、お客さまのみならず従業員や一緒に働くメンバーについても同様で、マネジメントの重要なテーマだと考えています。

私たちはさまざまな商品を扱っていますが、1つの商品は2つにはなりません。一方、一人の力は倍にも10倍にもなる可能性を持っています。私は人財が資本であるという考え方の根幹はここにあると考えています。人と組との力で変革を成し遂げるために全ての従業員が活躍できる企業風土が醸成されることが求められており、私も貢献したいと考えています。

いま、必要なこと

いま日本社会の多くの組織において、モノカルチャーから脱して多様性の高い組織風土を醸成していくことは喫緊の課題です。当社グループにとってもダイバーシティ&インクルージョンの実現は、多くのステークホルダーにこれからも引き続き企業価値を認めていただくために不可欠です。そのためには、取締役会はもとより、経営を支える中核となるポジションに女性をはじめ、多様な人財が就くことが必要です。当社における人財の登用において、性別などの属性や経験に偏りがないかに留意し、グループで働く全ての従業員に公平かつ十分な活躍の機会が与えられていくか、取締役としてモニタリングしていきます。

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