対談・インタビュー
SUSTAINABILITY
2021.11.30
顧客に対する責任
#適正表示の推進 / #社内体制の構築と推進 / #お取組先との連携
(株)三越伊勢丹ホールディングス 総務統括部 コンプライアンス部
榎本 明子
※所属は2021年11月時点のものです。
皆さまは、「品質」という言葉にどんなイメージを持っているでしょうか。データ偽装、異物混入、産地偽装など、様々な「品質」に関連する問題がニュースで取り上げられることも多く、高い「品質」を維持することの重要性は年々高くなっております。社会の「品質」に対する目もより厳しくなっており、「品質」の問題は、企業の存続にさえ影響を及ぼすような重大なリスクとなっています。
また、社会環境の変化とともに品質管理を取り巻く問題も変化しますが、過去に社会的な問題になったことが、忘れた頃に形を変えて再度問題になることも多くあり、「品質」の課題は継続的に取り組む必要があると感じています。さらに、最近では商品の流行やトレンドの移り変わりが早く、加えて法律や規則の改訂や新設も多くあり、情報を素早くキャッチすることがとても重要になっています。
お客さまが三越伊勢丹グループに求める商品品質への期待は、創業当時から先代が築き上げてきたのれんへの信頼につながっています。ゆえに、こののれんへの信頼を守ることが、私たちの最大のミッションです。
のれんへの信頼については、まだ私が若手の頃に、多くのお取組先からも教わりました。例えば、「三越や伊勢丹からお墨付きを貰えれば、他社へも自信を持って薦められる」とか「上司から三越や伊勢丹の品質管理へ確認してから決定しろと言われた」などなど、相談を受ける責任の重さを感じながら、とても嬉しかったことを今でもよく覚えています。先輩方が真摯に取り組み築いてきた信頼を損なわないように、私たち後輩はしっかりとその土台を継承していくことがとても大事だと考えています。
品質管理は様々な業務を担っていますが、このレポートでも一部をご紹介させていただきました。
品質管理というと、何か問題が発生した際に対応する役割だと思っている方もいますが、私たちが考える本来の役割は〈事故の未然防止〉です。土台としての「基準・ルールの策定」、事故予防の武器となる知恵を得るための「教育」、そして適時不適品を排除する「日々の点検」などに力を入れているのは、そのためです。他にも、直輸入品の適正な検品体制の構築や表示の指示など、一部メーカー的な役割も果たしています。
一方で、事故の未然防止の観点に加え、万が一の事故発生時の被害拡大防止においては、品質管理としての専門性を活かした対応も行っています。例えば、社内に設置している検査室で定期的に店内製造品の細菌検査を実施して衛生状況を確認したり、食品に重篤な異物が入っていた場合にはその工場まで出向き、原因を特定し、再発防止策がきちんと取られていることが確認できるまで商品の再販は認めないなどです。私も実際に、事前確認や改善対応を含め、300カ所を超える食品関連の厨房や工場確認を経験しています。
このように、品質管理は安心・安全な商品を確保するために努力をしていますが、一緒に取り組んでいる〈お買場のスタイリスト〉〈バイヤー〉〈各店舗〉、そして〈お取組先〉の方々の働きがあることも忘れてはいけません。それぞれが信頼関係を築き、連携を図ることではじめて、良い「品質」の商品をお客さまへ提供することが実現できるのです。私たちは黒子として、またある時は前面に出て対応できるよう、今後も精進と関連各所との連携を進めていきたいと考えています。
当社グループがこれからも持続的成長を続けていくためには、お客さまが商品やサービスを安心・安全にご利用いただくことを大前提としながらも、品質管理という狭義の意味に囚われることなく、今後の社会的な役割(プラスチック問題、化学物質への対応、フードロス等)へも積極的に関与したいと考えています。それぞれが持つ得意分野が相乗効果を発揮し、部門を越えて連携できることが理想です。それが実現できるよう、私たちも知見を深めていかなければなりません。品質管理が持つノウハウや知識が、様々な現場の仲間に役立つと思って貰えるよう、メンバー全員が一丸となって新たな1ページを作るために努力してまいります。
サステナビリティレポートをご一読いただき、当社グループの品質管理について知っていただければ幸いです。