株式会社三越伊勢丹ホールディングスにおける内部統制システム構築の基本方針
三越伊勢丹グループは、健全かつ透明性の高いグループ経営と企業価値の最大化を図るべく、業務の適正を確保するために、以下の内部統制システム構築の基本方針を実践しています。
1.コーポレートガバナンス・グループ管理統制体制
「当社の執行役および使用人の職務の執行が法令および定款に適合することを確保するための体制」(会社法416条1項1号ホ、会社法施行規則112条2項4号)
「当社および子会社から成る企業集団における業務の適正を確保するための体制」(会社法施行規則112条2項5号)
- 当社および当社子会社(以下「当社グループ」と総称する。)は、会社法等の規定に則り、会社の業務の適正を確保するための体制(内部統制体制)について、社内規程の整備・運用、所管部門の設置、計画・方針の策定その他の体制の整備を行い、健全かつ堅固な経営体制構築に努める。
- 取締役会を「取締役会規程」に則り定例および臨時に開催し、取締役会において法令上取締役会に付議しなければならない事項(以下「法定の付議事項」という。)を中心に決議するとともに執行役の業務執行を監督し、法令および定款違反行為を未然に防止する。
- 取締役会の意思決定および監督の適法性、効率性および妥当性を高めるため、取締役のうち過半数を社外取締役とする。
- 取締役会は法定の付議事項を中心に決議し、他の重要案件の意思決定は原則として執行役に権限委譲する。執行役を中心メンバーとする執行役会にてそれら重要案件を審議のうえ決議・決定する。
- 当社子会社の自主性を尊重しつつ、当該子会社を所管する部署を設置し、その経営管理および助言・指導を行うとともに、必要に応じて当該子会社に取締役、監査役を派遣して経営を把握し、業務の適正化を推進する。
2.コンプライアンス体制
「当社の執行役および使用人の職務の執行が法令および定款に適合することを確保するための体制」(会社法416条1項1号ホ、会社法施行規則112条2項4号)
「子会社の取締役等および使用人の職務の執行が法令および定款に適合することを確保するための体制」(会社法施行規則112条2項5号ニ)
- 当社グループの全役職員(取締役、執行役、執行役員及び使用人)の職務執行が法令および定款に適合することを確保するため、「三越伊勢丹グループ行動規範」を制定し、当社グループ全体に周知・徹底させるとともに、適宜、法令遵守等に関する研修を行い、コンプライアンス意識や倫理観の醸成を図る。
- コンプライアンスを所管する担当役員、部署・担当を設置し、内部統制・法令遵守体制の維持・向上を図る。
- 当社グループの経営上の重要なコンプライアンス課題について、網羅性のある検証、及び横断的対応策の検討を行うため、CAOを委員長とするコンプライアンス委員会を設置する。
- 当社グループにおいて不正行為等があった場合に、その事実を速やかに認識し、自浄的に改善するため、役職員等からの内部通報窓口として「三越伊勢丹グループホットライン」を設置する。
3.リスクマネジメント体制
「当該株式会社の損失の危険の管理に関する規程その他の体制」(会社法施行規則112条2項2号)
「当社の子会社の損失の危険の管理に関する規程その他の体制」(会社法施行規則112条2項5号ロ)
- 当社グループにおけるリスクマネジメントに関し、「リスクマネジメント基本規程」において必要な事項を定め、リスクマネジメントを所管する担当役員、部署、担当を設置し、当社グループのリスクマネジメントの管理・統制を図る。また当該部署は、当社グループ各社と連携しながら、リスクマネジメントを推進する。
- 当社グループ全体の統合的なリスクマネジメントの実現を図るために、CROを委員長とするリスクマネジメント委員会を設置する。
- 当社グループにおける事業運営上発生するリスクの特定と評価・分析を行い、その評価・分析にもとづき、優先的に対応すべきリスクを選定し、リスク発現を未然に防止する。
- リスク発生の際の対策本部設置など迅速に対応できる社内横断的な管理体制の整備を行い、損害の拡大、二次被害の防止、再発の防止を図る。
- リスクの認識・評価・対応の観点から、関連諸規程を策定し、当社グループに周知・徹底させる。
- 当社子会社においても、事業内容や規模に応じて必要なリスク管理体制の整備を促進することにより、職務遂行に伴うリスクをグループとして適切に管理・統制する。
4.財務報告の適正性を確保するための体制
「財務報告の適正性を確保するための体制」(金融商品取引法24条の4の4)
- 当社グループにおける適正な財務報告を確保するための全社的な方針や手続きを示すとともに、適切に整備および運用する。
- 財務報告の重要な事項に虚偽記載が発生するリスクへの適切な評価および対応を行うとともに、当該リスクを低減するための体制を適切に整備および運用する。
- 真実かつ公正な情報が識別、把握および処理され、適切な者に適時に伝達される仕組みを整備しかつ運用する。
- 財務報告に関するモニタリングの体制を整備し、適切に運用する。
- モニタリングによって把握された内部統制上の問題(不備)が、適時・適切に報告されるための体制を整備する。
- 財務報告に係る内部統制に関するIT(情報インフラ)に対し、情報漏洩や不正アクセスの防止等を含めた適切な対応を行う。
5.情報保存管理体制
「当社の執行役の職務の執行に係る情報の保存および管理に関する体制」(会社法施行規則112条2項1号)
- 執行役および取締役の職務の執行に関する文書について、「文書管理規程」に基づき所定期間関連資料と共に記録・保管・管理する。
- 文書管理規程において、文章管理責任者を定め、重要文書管理方法を周知の上、運用の徹底を図り適切に行う。
- 会社法・金融商品取引法等の法令によって秘密として管理すべき経営情報、営業秘密および顧客等の個人情報について、保護・管理体制および方法等につき「情報管理規程」等の規程類を整備し、関係する取締役、執行役および従業員がこれを遵守することにより、安全管理を行う。
6.効率的職務執行体制
「当社の執行役の職務の執行が効率的に行われることを確保するための体制」(会社法施行規則112条2項3号)
「当社の子会社の取締役等の職務の執行が効率的に行われることを確保するための体制」(会社法施行規則112条2項5号ハ)
「当社の子会社の取締役等の職務の執行に係る事項の当社への報告に関する体制」(会社法施行規則112条2項5号イ)
- 執行役の職務の分掌や指揮命令関係は取締役会で適切に決定する
- チーフオフィサー制を採用し、代表執行役社長から重要な担当領域を委任されたチーフオフィサーは、複数の部門にまたがる当社グループ全体の課題に関する統括業務の推進を行う。
- 当社グループ各社は、経営目標を定めるとともに、経営計画を制定し、適切な手法に基づく経営管理を行う。
- その他職務執行については、「グループ意思決定手続規程」、「組織役割規程」、「捺印権限規程」等においてそれぞれ職務および、その責任、執行手続きの詳細について定めることとする。
- 当社グループの経営管理の基本方針などを定め、規程を制定するとともに、各当社子会社と経営管理契約等を締結する。また、「グループ意思決定手続規程」「グループ会社管理規程」に基づき、当社子会社における重要案件に関する当社への報告および協議ルールを定め、当社グループ全体としての効率性を追求する。
- 当社グループの経営管理については統合会計システムの導入、対象範囲拡大による一元管理を目指すとともに、決裁、報告制度による管理を行うものとし、必要に応じてモニタリングを行う。
7.内部監査体制
「当社の執行役および使用人の職務の執行が法令および定款に適合することを確保するための体制」(会社法416条1項1号ホ、会社法施行規則112条2項4号)
「当社の子会社の取締役等および使用人の職務の執行が法令および定款に適合することを確保するための体制」(会社法施行規則112条2項5号ニ)
- 内部監査部門として、独立した専門部署を設置する。内部監査は「内部監査規程」に基づき、内部監査部門と各部門が連携しながら実施し、業務遂行の適法性・妥当性等を監査する。
- 内部監査部門は当社グループの内部監査を実施し、業務遂行の適法性・妥当性等を監査する。
- 内部監査部門の監査により、当社および当社子会社のリスクの早期発見、解決を図る。
- 内部監査部門は、必要に応じ監査委員会(当社子会社においては監査役)及び会計監査人との間で協力関係を構築し、内部監査の効率的な実施に努める。
8.監査委員会スタッフに関する事項
「当社の監査委員会の職務を補助すべき取締役および使用人に関する事項、当該取締役および使用人の執行役からの独立性に関する事項、および当該取締役および使用人に対する監査委員会の指示の実効性の確保に関する事項」(会社法施行規則112条1項1号、2号、3号)
- 監査委員会の職務を補助する専任の組織を設置し、スタッフ(以下「監査委員会スタッフ」という。)を配置する。監査委員会はそのスタッフに対し監査業務に必要な事項を指示することができる。
- 監査委員会スタッフは、監査委員会が求める事項の報告を行い、その報告のために必要な情報収集の権限を有する。
- 監査委員会スタッフは、業務執行組織から独立し、専属として監査委員会の指揮命令に従いその職務を行う。当該スタッフの人事異動、評価、懲戒等その処遇については監査委員会の同意を必要とする。
- 当社グループ全体の監査体制強化のため、監査委員会スタッフを非常勤監査役として当社子会社に派遣する。
9.監査委員会への報告に関する体制
- 「当社の取締役(監査委員である取締役を除く。)、執行役および使用人が当社の監査委員会に報告をするための体制その他の監査委員会への報告に関する体制」(会社法施行規則112条1項4号イ)
「当社の子会社の取締役、監査役等および使用人またはこれらの者から報告を受けた者が当社の監査委員会に報告するための体制」(会社法施行規則112条1項4号ロ)
- 当社グループの取締役、執行役および従業員が監査委員会の求めに応じてまたは事案発生時に遅滞なく監査委員会に報告すべき事項を取締役会が定める「監査委員会規程」に定め、取締役、執行役および従業員は必要な報告を行うものとする。なお、監査委員会は前記に拘らず、必要に応じていつでも取締役、執行役、従業員に対して報告を求めることができる。
- 当社子会社の取締役、監査役等および従業員またはこれらの者から報告を受けた者は、当社の監査委員会に対して、当該子会社の業務または業績に影響を与える重要な事項について、報告することができる。
- 当社グループ全体を対象とする内部通報制度である「三越伊勢丹グループホットライン」の適切な運用を維持し、その運用状況、通報内容および調査結果を定期的に監査委員会に報告することとする。
- 「1の報告をした者が当該報告をしたことを理由として不利な取扱いを受けないことを確保するための体制」(会社法施行規則112条1項5号)
- 監査委員会への報告を行った者に対し、当該報告をしたことを理由として不利な取扱いを行うことを禁止する。
10.監査費用の処理方針
「当社の監査委員の職務の執行について生ずる費用の前払または償還の手続その他の当該職務の執行について生ずる費用または債務の処理に係る方針に関する事項」(会社法施行規則112条1項6号)
監査委員がその職務の執行について、会社法第404条第4項に基づく費用の前払い等の請求をしたときは、当該請求に係る費用または債務が当該監査委員会の職務の執行に必要でないと認められた場合を除き、当該費用または債務を処理する。
11.監査委員会監査の実効性確保に関する体制
「その他当社の監査委員会の監査が実効的に行われることを確保するための体制」(会社法施行規則112条1項7号)
- 監査委員会は情報収集、情報共有および課題認識の共有のため、代表執行役、取締役会議長、監査委員以外の取締役、および会計監査人とそれぞれ定期的に意見交換会を開催する。
- 監査委員会が選定する監査委員は、取締役会のほか、重要な意思決定の過程および職務の執行状況を把握するため、重要な会議に出席することができる。
- 内部監査部門は、当社グループ全体を対象とする内部監査計画、監査結果および監査の状況を監査委員会に報告するほか、情報交換等の連携を図る。なお、監査委員会は、必要に応じ、内部監査部門に対して調査その他の具体的な指示をすることができる。また、内部監査部門の長の人事および懲戒には監査委員会の同意を必要とする。
2024年6月1日改定