SUSTAINABILITY
当社グループは、企業活動の透明性を確保し、経営の意思決定の迅速化、経営監督機能の強化、内部統制システムの充実などに継続的に取り組むことで、コーポレート・ガバナンス改革を推進しています。また、機関設計として指名委員会等設置会社を採用しています。
お客さま、お取組先、株主・投資家、従業員、地域社会・コミュニティといったステークホルダーとの良好な関係を構築するため、コーポレート・ガバナンスの在り方の検証を行い、適宜、必要な改善を図っています。
また、当社グループは、コーポレート・ガバナンスに関する基本的な考え方、枠組み、および運営方針を定めた「コーポレートガバナンス方針」を制定・開示しています。
取締役会は、株主に対する受託者責任・説明責任を踏まえ、グループの大局的な方向性づけと業務執行に対する監督・モニタリングに特化することを通じて、当社グループの持続的な成長と中長期的な企業価値向上を目指します。
経営のモニタリングに適した体制とするため、取締役会の構成は社外取締役を過半数とし、2021年4月より社外取締役を議長としています。
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議長/委員長 | 人数と構成 | 開催回数・出席率 | 主な議題 |
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議長:橋本取締役 |
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社長CEOの再任可否の判断や後継者計画(サクセッションプラン)の審議、株主総会に提出する取締役の選解任議案の決定、取締役会で決議する法定3委員会の委員案や執行役等の役員人事案の審議を行います。
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議長/委員長 | 人数と構成 | 開催回数・出席率 | 主な議題 |
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委員長:橋本取締役 |
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企業価値向上に向けた役員のインセンティブにつながる報酬制度をもとに、社外取締役の主導で役員の「報酬」に関する審議や意思決定を行います。
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議長/委員長 | 人数と構成 | 開催回数・出席率 | 主な議題 |
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委員長:土井取締役 |
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執行役および取締役の職務執行の監査、内部統制システムの構築・運用状況の監査、および会計監査人の選解任等に関する株主総会提出議案の内容の決定等を行い、監査を通じた取締役会の監督機能を担います。また、会計監査人、内部監査部門およびグループ各社の監査役と連携して、グループ全体の監査体制を構築します。
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議長/委員長 | 人数と構成 | 開催回数・出席率 | 主な議題 |
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委員長:石塚取締役 |
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当社では、取締役会および法定3委員会の実効性評価を、自己評価アンケートやインタビュー等を通じて実施しています。当該分析・評価をもとに、役員間で複数回の討議を行うと共に、アクションプランの策定・実行を通して、取締役会等のさらなる実効性向上を図っています。
当社の実効性評価は独立社外取締役が務める取締役会議長主導で設計しています。過去より実施していた第三者機関の活用是非は取締役会で毎年議論しておりますが、本年度は自律自走で取組むこととし、その枠組みについては複数の第三者機関からのレビューを受けることで妥当性を確認しています。
評価手法 | ●全取締役、執行役に対する「個別アンケート調査」(8項目・全63設問) ●アンケート調査後の「個別インタビュー」(一人当たり約1時間) ⇒自社状況を把握した取締役会室長が個別実施することで課題の深掘りを実施 |
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評価項目 |
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評価結果 | ●多くの設問項目で「適切である」または「おおむね適切である」との回答が一定割合以上を占め、全項目の平均評点は前年度から改善しました。取締役会および法定3委員会の実効性が十分に確保されていることを確認しました。 ●特に「取締役会の運営・議論」および「社外取締役ミーティング」での評点において大きな改善が見られ、議事の内容や開催頻度、自由闊達で建設的な議論の実現および社外取締役間の情報共有などについて、一定程度の評価が得られました。 ●一方で課題感として「取締役会の議題設定」については、次年度が現中期経営計画の最終年度であることのモニタリングのポイントと、次期中期経営計画の組み立ておよび将来を見据えた議論の更なる活性化について取締役会でより深い議論が必要との意見が出されました。 ●また「ステークホルダーを意識した取り組み」については改善が見られるものの、次年度はより充実した活動と報告共有等、更なる改善の余地がある旨の評価となりました。 |
運用方針とアクションプラン | 評価結果を受け、「社外取締役間」「社内取締役・執行役間」「取締役会」での合計3回の討議を通じ、 取締役会の次年度運営方針とアクションプランを下記のとおりとしました。 |
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【次年度の運営方針】 ●当社の将来に関する長期目線の議論を更に深め、次期中期経営計画の方向付けを行う。 ●取締役会におけるモニタリングを更に進化させ、執行による適切なリスクテイクを支える環境を整える。 |
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【アクションプラン】 ①グループの大局的方向付け(有効な大局的議論) ②業務執行に対する監督・モニタリング(的確な戦略進捗のモニタリング) ③法定3委員会の実効性向上(連携と共有の精度向上) ④運営・サポートの継続的改善(効率的かつメリハリある運営とサポート) |
策定したアクションプランを着実に実行し、その進捗と課題の改善状況を取締役会で定期的にチェックすることで、取締役会の更なる実効性向上に努めてまいります。
当社では、「役員在任年齢上限規程」により、在任の上限年齢と上限任期を役位ごとに定め、適切なローテーションを促しています。そのうえで、代表執行役および役付執行役を含む執行役の選任、および委任契約期間満了後の再任の可否については、各人の委任契約期間における定量的な成果、および第三者機関による経営人財評価などの客観的データを適切に評価し、指名委員会にて判断することとしています。役員に関わる選解任基準については透明性確保のため、2022年3月に「三越伊勢丹グループ役員ポリシー」を策定しています。
CEOの選任、再任可否の判断および後継者計画(サクセッションプラン)については、指名委員会における最重要事項の一つに位置づけ、透明性・公正性を確保しつつ取り組んでおり、その在り方を同委員会で積極的に審議し、同委員会の審議過程において指名委員会委員以外の全ての社外取締役からも意見聴取するなど、かかる取り組みのさらなる高度化を図っています。
具体的には、CEO就任初年度に在任期間中のビジョンを指名委員会において審議したうえで、毎期経営計画に対する進捗状況や今後の見通し、解決すべき課題などを同委員会にて説明・共有し、再任可否については指名委員会委員である社外取締役が主体的に判断できる体制を整えています。また、CEO後継者情報については、候補者の外部経営人財評価機関によるスクリーニング結果、育成計画、および経験させるべき分野への異動配置案などのあらゆる情報を徹底して指名委員会に共有します。
なお、緊急時のCEO候補(CEO代行者)については、毎期初に指名委員会にて審議・確認しています。
取締役会の構成については、高い倫理観とともに、幅広くかつ専門性の高い知識や特定事業領域における知見、外部企業経験などに基づくスキルを有した多様なメンバーで構成されるよう考慮しています。そのうえで、取締役候補者の選任にあたっては、上記取締役会の構成に関する考え方と、以下の選任基準をもとに、社外取締役が過半数かつ委員長を務める指名委員会にて決議し、株主総会へ上程しています。
また、社外取締役については、その客観的な視点からの幅広い意見を積極的に取り入れ、バランスの取れた経営を行うために、実業界で経営・執行経験を十分に積んだ方をはじめとして、異なる分野・業界から招聘するとともに、取締役会の多様性確保に十分に留意した人選を行うこととしています。
なお、経営陣幹部である執行役については指名委員会にて審議のうえ、取締役会で決議しています。
当社は、社外取締役を独立役員として指定するにあたって、その独立性を判断するため、「三越伊勢丹ホールディングス社外役員の独立性に関する基準」を独自に定めており、下記のいずれにも該当しない社外役員を独立役員として指定しています。
②③の「主要な取引先」とは「当社グループと当該取引先の連結ベースの年間取引額が、過去3年間において1度でも両者いずれかの連結ベースの年間総取引額の1%を超える取引があった取引先」
④の「主要な借入先」とは、「当社グループの借入金残高が、事業年度末において当社の連結総資産の2%を超える借入先」
⑤の「一定額」とは「過去3年間のいずれかの年度において1千万円以上」
当社は執行役等の個人別の報酬等の内容に係る決定に関する方針として「役員報酬に関する基本原則」を定めており、その内容の概要は以下のとおりです。
以下の4点を基本原則とすることで健全な企業家精神の発揮に資するインセンティブ付けをしています。
上記「役員報酬に関する基本原則」に基づき、社外取締役のみで構成される法定の報酬委員会において、報酬に関する方針の決定や個別報酬額を審議し、決定します。同委員会においては、役員報酬制度が当社グループの持続的な成長に向けた健全なインセンティブとして、より一層機能するよう検討を継続しています。
上記の「役員報酬に関する基本原則」を踏まえ、報酬決定プロセスの全般において、法定の委員会であり、社外取締役のみで構成される報酬委員会にて実効性の高い審議を行うことで、客観性、透明性を確保しております。
当社では役員報酬制度を、固定報酬である「基本報酬」、単年度業績に連動する「賞与」および中長期インセンティブとしての「株式報酬」の3つの要素で構成しております。代表執行役社長を含む執行役においては、業務執行に対する責任を明確にするために、業績連動報酬型の賞与について、年間の全報酬に占める比率を22.7%(23年度比較-2.3%)として設定しております。(執行役兼務者以外の社内取締役および社外取締役については賞与の支給はありません。)
また、株主との利害一致を図り、当社グループの中長期的な業績と企業価値向上へのインセンティブ効果を高めることを目的として、2020年度より譲渡制限付株式報酬制度を導入し、その比率を徐々に高めつつあります。2024年度は年間の全報酬に占める比率を22.7%(23年度比較+2.7%)として設定しております。今後もより一層、中長期の株主価値の向上に対する意識を高めるため、役員報酬における株式報酬のバランス・水準の在り方などを報酬委員会で決定してまいります。
代表執行役社長を含む執行役においては、役員報酬原則を反映し、目標達成を強く動機づけるために、以下のとおりの業績連動型賞与を導入しております。なお、執行役を兼務しない取締役への賞与支給はありません。
執行役:基準賞与額(月額報酬(5ヶ月))×全社業績支給率×全社ESG指標)
早期にグループの基盤を整備し、経営を将来に向けた成長軌道に乗せるために、中期経営計画及びそれを踏まえた単年度計画の達成を強く動機づけるべく、連結営業利益額をその指標としております。
具体的には、当社として目指すべき営業利益目標額を達成した場合の支給率を1.00(100%)とし、達成度に応じて支給率は下限0.00(0%)~上限(なし)で比例配分となるように設計しております。目指すべき営業利益目標額は、目標額の絶対水準を鑑みながらメリハリのある設定となるように毎期判断し決定しております。
当社として掲げている中長期のサステナビリティ推進目標の実現に向けた動機づけとして、2023年度より役員賞与への評価にESG指標を導入しております。指標KPIについては毎期判断し決定することとしており、基準賞与額×全社業績支給率で算定された賞与に対し±5%の変動幅で達成度合いが反映されるように設計しております。
2020年度から、社外取締役を含む当社の取締役および執行役に対し、株主価値の向上に対する意識を従来以上に高めることを目的として、譲渡制限付株式報酬制度を導入しております。
執行役(取締役兼務者含む):月額基本報酬額×5ヶ月分
非業務執行取締役:月額基本報酬額×2ヶ月分
個別金銭報酬債権÷基準株価(※)(百株未満切り捨て)
※基準株価:割当決議日の前取引日(当該日に終値が付かない場合はその前取引日)の東京証券取引所における当社株式の終値
譲渡制限期間:30年間
なお、譲渡制限期間中に当社グループ全役員のいずれの地位からも任期満了もしくは当社取締役会が正当と認める理由により退任した場合は、譲渡制限を解除します。
当社グループは、グループの持続的な成長と中長期的な企業価値の向上に資すると認められる場合を除き、原則として政策保有株式を取得・保有しないことを基本方針としております。既に保有する政策保有株式については、毎年取締役会において、保有目的、取引状況、配当収益など、定量面と定性面から総合的に継続保有の合理性を検証しておりますが、政策保有株式縮減に向けて、市場環境や保有銘柄の状況等を勘案しつつ段階的に売却を進めてまいります。
政策保有株式の最大保有者である(株)三越伊勢丹において、2023年3月末日における保有銘柄数は33銘柄でしたが、2023年度に5銘柄を売却し、2024年3月末日現在28銘柄となっております。
政策保有株式の議決権の行使については、当該会社の持続的な企業価値の向上につながるか否か、また当社グループの持続的な企業価値の向上につながるか否かなどを総合的に判断し、各議案について適切に議決権を行使してまいります。
当社の株式を政策保有株式として保有している会社(政策保有株主)から売却等の意向が示された場合、取引の縮減を示唆することなど、売却等を妨げる行為は行いません。