循環型社会の構築

SUSTAINABILITY

廃棄物排出量

2022年度

18,181トン

グラフは左右にスワイプしてご覧ください

廃棄物排出量と廃棄物リサイクル率(食品を含む)を表す棒グラフと折れ線グラフ。2018年度の廃棄物排出量は26,686トン、廃棄物リサイクル率は73.1%。2019年度の廃棄物排出量は24,680トン、廃棄物リサイクル率は72.9%。2020年度の廃棄物排出量は16,992トン、廃棄物リサイクル率は71.3%。2021年度の廃棄物排出量は17.792トン、廃棄物リサイクル率は71.0%。2022年度の廃棄物排出量は18,181トン、廃棄物リサイクル率は70.7%。

大量生産・大量消費・大量廃棄は、気候変動をはじめとする、さまざまな負の外部性をもたらしています。それらの課題を克服し、持続可能な社会を構築するためには、循環型社会への移行は欠かせません。また、お客さまをはじめとするステークホルダーの関心も高まっています。
三越伊勢丹グループでは、循環型社会の実現に向けた取り組みを通じて、環境負荷の低減を図るとともに、新たなサービス機会の創出や、コストの削減につなげています。

4Rの取り組み

百貨店事業を中心とする当社グループらしい4Rに取り組んでいます。
4R=Refuse、Reduce、Reuse、Recycle

当社グループにおける資源循環と4R

Refuse~ご辞退の提案~

カンガルーのイラストと、エコ包装をカンガエルー。という見出しが表示されている。見出しの下に、それは、使いみちにあった包装を選ぶ、スマートなラッピング。smart wrapping という文字が表示されている。

目的に合わせて、「使わない」選択肢をお客様に提示しています。カードご利用明細のWEBなどに加えて、グループ百貨店の店舗では、日本百貨店協会が進める「スマートラッピング」を実践し、お客様ご要望をお伺いしながら、適正包装やマイバッグのご持参をおすすめしています。

中元・歳暮の「エコ包装」

グループ百貨店

お客さまの「こころ」を包むラッピングは、百貨店が提供する価値の中でも大切なものの一つです。贈り物文化を大切にしながらも、より環境負荷の低い形をご提案するために、国内グループ百貨店の中元・歳暮では「エコ包装」をおすすめしています。「エコ包装」とは、箱を完全に包まず、表面にフィルムを被せる形をとることで、包装資材の使用量を削減できる方法です。20年以上続けてきたこの活動は、多くのお客さまにご支持いただき、2023年の中元ではグループ百貨店全体のうち約67%の贈り物で「エコ包装」をお選びいただきました。
環境負荷をさらに抑えるために、三越のれんおよび伊勢丹のれんでは、サトウキビ由来のバイオマス素材を配合したフィルムを開発。2021年の歳暮以降、順次切り替えを行いました。

エコ包装されているお歳暮の画像。箱を完全に包まず、表面にフィルムを被せて包装している。
包装紙の一部を拡大した画像。バイオマス 使用部位:フィルム の文字が印字されている。
(一社)日本有資源協会 (JORA)認定バイオマスマーク取得

マイバッグの利用と持ち歩き推進

グループ百貨店

マイバッグのおすすめとともに、ペットボトル等の再生繊維を使用したオリジナルバッグを企画販売

国内グループ百貨店では、容器包装リサイクル法関係省令改正によるプラスチック製買物袋有料義務化に伴い、2020年7月1日より、自社製プラスチック買物袋を順次廃止しています。
また、プラスチック製買物袋だけではなく、紙製買物袋も含めた使用量削減のため、「マイバッグはお持ちでいらっしゃいますか?」のお声がけを強化し、“マイバッグの利用と持ち歩き”がスタンダードなライフスタイルとなることを目指しています。
お客さまのご理解とご協力の結果、プラスチック製買物袋の使用量は減少しています。

Reduce~減らす~

生産や発注を見直し、店頭で使用する包装資材の使用量削減や受注販売による適正在庫の実現、食品ロスの削減に取り組んでいます。

プラスチック使用量の削減

グループ百貨店

石油プラスチックの使用量の抑制の一環として、2022年4月に施行された「プラスチック資源循環促進法」対象品目においても、使用量の削減を進めています。
グループ百貨店での使用量のうち、最もウエイトが大きいのが衣類カバーです。三越のれん・伊勢丹のれんのツーリストバッグでは、不織布の薄肉化により、プラスチック使用量を約30%削減しました。環境負荷を抑えるとともに、コストの抑制にもつなげています。

伊勢丹のれんで使用しているツーリストバッグ(衣類カバー)
特定プラスチック使用量(2022年度)を表す円グラフ。合計27.9t。衣類カバー 12.7t 45.5%。衣類ハンガー  7.3t 26.2%。カトラリー類 7.9t 28.3%。円グラフの下に、※データの集計範囲はグループ百貨店(一部地域店を除く) カトラリー類は、お取組先使用分を含む と表示されている。

エムアイフードスタイル

割り箸と木製のスプーンのみの提供に切り替える旨のお客様向けの案内文書の画像と、木製カトラリースプーンの写真。
FSC認証の木製カトラリースプーン

グループ関連会社の(株)エムアイフードスタイルが運営する「クイーンズ伊勢丹」では、2022年5月から、プラスチック製のカトラリーの削減として、割り箸と木製のスプーンのみの提供に切り替えました。これにより、プラスチック製のカトラリー使用量が年間1.6トン削減され、温室効果ガス2.7t-CO2が削減される試算です。

梱包マニュアルの整備を通じた包装・資材の使用量抑制

三越伊勢丹ビジネス・サポート

梱包マニュアル【包装】【養生】【配送袋】の表紙の画像。

グループ関連会社の(株)三越伊勢丹ビジネス・サポートでは、2022年9月末に梱包マニュアル【包装】【養生】【配送袋】を策定しました。
マニュアルは、誰がみても判断できるよう、商品特性に応じた適切な梱包方法を写真付きで掲載し、平準化を進めています。何より受け取られるお客さまを第一に考え、あわせて輸配送段階の環境にも配慮し、「適正包装」「適正梱包」の推進に取り組むことで、包装資材の削減を進めてまいります。

廃棄物計量器をフル活用した百貨店食品ロス減量化

グループ百貨店

百貨店店舗では廃棄物計量器を設置し、廃棄物排出量の把握を実施していますが、なかでも食品部門では、社会課題の一つである「食品ロス」削減に様々な角度から取り組みを進めています。季節商品の受注販売や、日々の廃棄物排出量の記録など、お取組先のご協力をいただきながら進めています。
2021年度には、これまでの「見える化」から一歩踏み出し、お客さまのために、適時、適量を提供できる体制を整備するうえでも、売上との相関関係の分析を行いました。
お客さまにご満足いただけるお買い物をしていただきながら、食品廃棄物削減に向けて取り組みを進めていきます。

食品製造・加工におけるロス削減

エムアイフードスタイル

(株)エムアイフードスタイル 総和工場

食品の製造過程においては、規格外・原料調達バランス、充填不良など、さまざまな理由からロスが起こります。(株)エムアイフードスタイルの自社工場では、製造過程における廃棄(フードロス)の削減に向け、下記の取り組みを行っています。
①作業ラインにてロスが発生した品目・量とその要因を詳細に記録
②毎週「生産管理担当」が責任者となり、さまざまな角度から、改善策を検討
③ライン責任者と問題点を共有し、改善と実施検証を繰り返し実施
④四半期ごとに、商品カテゴリー別に効果検証を実施
以上の取り組みにより、仕入れた原料を無駄なく活用しフードロスの発生量を着実に抑えるとともに、仕入れコストの無駄や廃棄コストの削減も実現しています。

Reuse~再利用する~

修理やリフォーム、衣料品などの買い取りと二次流通、ハンガーの回収と再利用など、モノを大切に長く使うライフスタイルの提案をしています。

i'm green

グループ百貨店

「捨てない社会」「必要以上につくらない社会」を実現するため、三越伊勢丹グループでは使われなくなったものをまたあらたたに活躍できる場所へと送り出すビジネス“i'm green”。三越日本橋本店から始まり、伊勢丹新宿本店、伊勢丹立川店、伊勢丹浦和店、丸井今井札幌本店にカウンターを常設しています。
i'm greenでは、衣料品、バッグ、時計、宝石、骨董・美術品などをお預かりし、専属の三越伊勢丹のスタイリスト(販売員)がご相談を承りながら最適な方法をご提案いたします。
2021年10月の開始から1年間で、延べ8,000名以上のお客さまにご利用いただき「三越伊勢丹だから安心できる」「こんなサービスを待っていた」など当社グループに対する信用・信頼の声を数多くいただいております。年間で、約8千件、約10万点を買取させていただきました。
その結果、2021年度には単年度黒字化、2022年度には規模を拡大し、事業を成長させています。今後は、首都圏以外のグループ百貨店での期間限定イベント開催や外商との連携を強めることで、より多くのお客さまにサービスに触れていただき、目指す社会の実現に向けて事業を拡大していきます。

産学連携を通じた更なる循環の拡大

それぞれの役を思い浮かべながら衣装づくりをする生徒の皆さん

i'm greenをご利用いただくお客さまは、ご自身の大切にしていた品物に強い思い入れをお持ちで、この後どこに行くのか、どう扱われるのか、品物の“セカンドライフ”に想いを馳せている方がとても多くいらっしゃいます。
そこで、買取できずに引取になった品物を、学校法人等の外部団体と連携し、リメイクやアップサイクルなど、当社グループのフィルターを加えて新しい価値に生まれ変わるような取り組みを開始し、第一弾として東京都立青山高等学校(以下、都立青山高校)に品物を無償で提供いたしました。
都立青山高校の「外苑祭」は、生徒による演劇の上演が伝統行事となっており、衣装をはじめ、舞台道具なども、生徒たちが手づくりするのが特徴です。提供した品物は、生徒自らがリメイクをし、演劇衣装として生まれ変わりました。
今後も学校法人等外部団体と協業し、リメイクやアップサイクルなど、活動の幅を広げていき、さらなる環境循環を計画していきます。

フードドライブ

FOOD&TIME ISETAN 横浜・大船

FOOD&TIMEでは、2021年3月より、横浜市資源循環局、(公社)フードバンクかながわと連携し、フードドライブを実施しています。フードドライブとは家庭で余っている食品を収集し、食を必要としている福祉施設(子ども食堂、一人暮らしの高齢者が集う会)などへお届けするものです。回収にあたり、4つのルール①未開封、②賞味期限が残り2ヶ月以上、③常温保存が可能、④アルコール不可を定めています。参画当初と比べ、フードドライブへの関心、理解も高まっており、寄付量も徐々に増えています。
このような取り組みを通じて、食品ロスという社会課題に多くの方が触れる機会を作ることで、社会課題の解決に貢献していきます。

店舗の回収箱で食品を収集する写真、収集された多数の食品の写真。フードドライブを告知する印刷物の写真が表示されている。
店頭に告知と回収箱を設置しています

アクリル板の再活用

グループ百貨店

伊勢丹新宿本店「WATCH COLLECTOR'S WEEK」開催時のショーウィンドウ

新型コロナウイルス感染症予防対策のために、店頭やバックオフィスなど、さまざまな場所で使用していたアクリル板。2023年5月に季節性インフルエンザなどと同じ「5類」へ移行後にはその多くが撤去され、その処分やリサイクルの方法は社会的な課題となっています。
伊勢丹新宿本店では、社内で使用していたアクリル板の一部をショーウィンドウの装飾として活用しました。まずは社内で使い道を見つけ、新たな命を吹き込みました。
ショーウィンドウでの使用が終わった後も、再資源化を行えるよう、検討を進めています。

Recycle~資源を再生する~

食品残渣(ざんさ)の飼料・肥料・燃料化、軟質フィルムのマテリアルリサイクルへの参画、お客さま持ち込みによる衣料品回収、リサイクル繊維を使用したオリジナルバッグの販売などを通じて、廃棄ではなく新たな資源につなげています。

衣料品リサイクル

グループ百貨店

アパレル産業は、さまざまな産業の中でも環境負荷が高いといわれています。カテゴリ別売上の中でもアパレルの比重の高い百貨店として、役目を終えた衣料品の廃棄量を減らすために、一部の地域百貨店では衣料品回収の機会も設けています。
回収後の衣料品は、リサイクルのパートナーであるアミアズ(株)を通じて、ボード、糸、紙のいずれかに再生されます。

リサイクルされ生まれ変わった後の衣料品の一例
(左から)リサイクルボードを利用した回収ボックス(i'm green)、再生糸、再生紙

リサイクルフローにおける大きな課題の一つは、機械化が難しい、素材ごとの仕分けや付属品(ボタン・ファスナーなど)の取り外し作業です。細かな手作業を含み高度な集中量を要するこの工程においては、障がい者が働く事業所と協業して分類や仕分けを行った後、国内の拠点でリサイクルを行っています。2023年度は、静岡伊勢丹および新潟伊勢丹にて回収を実施(10月末時点実績)。ご持参いただいたお客さまには店舗内でお買い物を楽しんでいただいており、リサイクルをきっかけとした新たな経済価値にもつながっています。

軟質フィルムから商品パッケージへ再生「POOL PROJECT TOKYO」への参画

グループ百貨店

百貨店事業では様々な種類の廃棄物が排出されています。お客さまに安全で安心していただける商品を提供できるよう、紳士服や婦人服等では、汚れ防止の観点から透明なビニール軟質フィルムで包装された商品を納品し、店頭に並ぶ際には軟質フィルムを外します。
2021年11月から、首都圏の3店舗では、この軟質フィルムを使った「POOL PROJECT TOKYO」に参画しています。
百貨店店舗で回収した軟質フィルムを、商品を納品した帰り便トラックに積み込み、ペレット状に砕く工場へ搬入。そこでペレット状になったプラスチックを、衛生商品や菓子のパッケージとしてリサイクルする循環システムです。2022年度には、軟質フィルムを合計5.6トンリサイクルし、温室効果ガス排出量を約5.6t-CO2削減しました。