SUSTAINABILITY
温室効果ガス排出量
(SCOPE1,2:マーケット基準)
2023年度
170,758t-CO2e※
ソコテック・サーティフィケーション・ジャパン社による第三者保証を取得しています。
2023年度より、算定範囲は連結子会社。
夏季の気温が毎年最高を更新し、各地を襲う自然災害が頻発するなど気候変動の影響は年々増大しています。
TCFDシナリオ分析の結果、当社グループのビジネスにとってもリスク・機会の両方が浮かび上がったこと、また、大量に電力を消費する大規模店舗をビジネスの中核に据える社会的責任の観点においても、気候変動は当社が最も重点を置いて対応すべき社会課題の一つであると位置付けています。
環境負荷低減の第一歩は、使用するエネルギーの削減です。特に当社グループは百貨店で使用する電気が総エネルギーの大部分を占めるため、全国の百貨店店舗の省エネとして、2011年以降LED化を継続的に進めてきました。具体的には、蛍光ランプ、HIDランプ(水銀灯などの放電管)、および一部残存していたハロゲンランプをLEDに交換する工事を実施。2019年度までは店舗の天井照明を中心に、以降は店舗の後方照明でLED化を進めてきたことで、累計のLED化率は約97%に達しました。これによる電力由来の温室効果ガス排出量削減は、累計で40974t-CO₂(試算値)に及んでいます。
店舗では、照明に加えて空調でも大きくエネルギーを消費するため、LED化に続く省エネ施策として、空調エネルギーの削減に着手しています。
伊勢丹新宿本店では、AIがフロアの混雑状況、時間帯のデータを蓄積・分析し、それぞれのお買場(売場)に適した空調環境を提供する実証実験を行っています。
排出する温室効果ガスをもう一段削減していくため、再エネ化を進めています。
百貨店事業を中心に、「追加性」のある電源の確保のため、太陽光由来の電力調達を優先的に行いつつ、電力会社の提供する再エネメニューや非化石証書の購入を組み合わせながら、店舗ごとに再エネ導入を進めていく予定です。
伊勢丹新宿本店、三越銀座店では、屋上に太陽光パネルを設置しています。
2023年2月には、オンサイトPPAモデルを利用し、三越伊勢丹物流センター(埼玉県所沢市)の屋上を利用し、太陽光パネルを設置。物流センターで使用する年間電力の約1/4を賄っています。
再生可能エネルギーによる電力調達手法の一つに、直接電力購入契約(コーポレートPPA)があります。この手法は、発電事業者が発電する再エネ電力を、長期にわたって固定価格で独占的に購入する仕組みです。
この手法を導入することで、社会に新たな再エネ電源を増やす「追加性」を確保できるとともに、当社にとっても再エネ電力の安定調達を可能にする仕組みです。
日本橋三越本店・伊勢丹新宿本店ではこの仕組みを活用して、2024年度途中より、太陽光由来の再エネ電力調達を開始しました。これにより、それぞれの使用電力の約17%程度が、再エネ化されることになります。
また、福岡の岩田屋本店においては、電力会社の小売りメニューや非化石証書を活用しています。2024年度下期からは、岩田屋本店本館・新館の使用電力を全て再エネ化。年間で4000t-CO₂以上の温室効果ガス削減となる見込みです。
伊勢丹新宿本店、三越日本橋本店、三越銀座店は、2016年3月に「CASBEE不動産評価認証」で最高位のSランクを取得し、その後も認証を更新取得しています。2021年度には伊勢丹浦和店、新潟伊勢丹、2022年度には仙台三越および静岡伊勢丹、2023年度には高松三越および松山三越も認証取得しSランクの評価をいただきました。
「CASBEE不動産評価認証」の評価項目は、建物の環境品質や環境負荷低減などからなり、「耐震化、維持管理、省エネ対策、周辺環境への配慮に積極的に取り組んでいること、築年数が経過しても良好なメンテナンスと企業としての環境配慮により高い環境性能を維持していること」が評価されました。また、CASBEE認証は5年ごとの更新制となっており、有効期限内に登録更新を行っています。
気候変動の緩和に向けては、サプライチェーン全体の排出量の削減も重要です。
当社グループでも、まずは可視化をするためにScope3の算定を行っています。
Scope3 カテゴリ別排出量は環境データページにて掲載しております。
Scope3はその排出要因に沿って15のカテゴリに分類されますが、当社のScope3排出の大部分は「購入した商品・サービス(カテゴリ1)」に該当します。その削減に向けては、仕入れ先に当たるお取組先と連携した対応策を検討していきます。
2023年度に実施した責任ある調達活動に関するアンケートでは、環境に関する質問の中で温室効果ガス排出量削減の取り組み状況についてもご回答いただきました。
何らかの形で自社の温室効果ガス排出量を算定している企業は全体の14%程度とまだ少数であるため、この結果を踏まえてScope3排出量への対応を検討してまいります。