INVESTOR RELATIONS
※CSDO:チーフ・ストラテジー&デジタル・オフィサー
現中期経営計画においては、“高感度上質”戦略、“個客とつながる”CRM戦略とともに、「百貨店の科学」による収支構造改革が奏功し、2023年度の営業利益は、統合後最高益となる543億円となりました。
また、事業戦略による利益成長とともに、さらなる企業価値向上に向け、株主還元の拡充にも取り組みました。2023年度の1株当たり年間配当金は、前年度から20円増額した34円とし、併せて150億円の自己株式取得を実施いたしました。その結果、資本効率を測るROEは株主資本コストを上回る水準の9.8%となり、利益水準・資本効率ともに、現在の中期経営計画における計画値を前倒しで達成いたしました。
現中期経営計画の最終年度となる2024年度は、さらなる増益を計画するとともに、1株当たり年間配当予想を48円としております。
なお、5月14日には150億円の自己株式取得枠設定を決議いたしました。
次期中期経営計画は、将来の“まち”化へ向けた着工・竣工スケジュールをふまえ、2025年度から2030年度までの6カ年で策定いたします。戦略面では、従来の“館”業から”個客”業へのビジネスモデル変革を目論み、さらなる事業成長を見込んでおります。具体的には、2027年度で800億円水準、2030年度で1,000億円水準の営業利益を計画しております。また、キャッシュアロケーションにおいては、前半3カ年(フェーズⅠ)は株主還元に比重を置き、後半3カ年(フェーズⅡ)では成長投資と株主還元のバランスを取った計画をいたします。利益成長と自己資本コントロールにより、ROEは安定的に8~9%台以上を維持し、早期に10%水準に到達することを目指します。また、新たにROICを財務KPIとして採用し、事業の収益力や投資効率を規律してまいります。
現中期経営計画以降、当社はバランスシートを意識した経営への転換を進めております。資本効率の向上と財務健全性の維持に向け、保有資産の圧縮・効率化や株主還元、有利子負債コントロール等を推進しております。
現預金は、一定の手元流動性を維持しながら、保有水準の適性化を進めており、2023年度は600億円台に縮減いたしました。また、政策保有株式(上場銘柄)については、毎年取締役会において継続保有の合理性を検証したうえで、段階的に売却を推進しております。直近5カ年においては、11銘柄を売却し、2023年度末における保有銘柄数は28銘柄となりました。
現中期経営計画において、安定して利益を創出できる体質となったことを踏まえ、2023年度に株主還元方針を刷新いたしました。具体的には、総還元性向50%水準を意識し、配当と自己株式取得によるトータルな還元を実施していくことといたしました。2023年度は、1株当たり年間配当金を20円増額した34円とするとともに、新たに自己株式を150億円取得いたしました。その結果、2023年度の株主還元総額は278億円となり、総還元性向は50.1%となりました。
当社のNET有利子負債は、概ね1,000億円水準で推移してまいりましたが、現中期経営計画におけるキャッシュ創出力の拡大により、投資と株主還元に資金を配分しながらも、2023年度には525億円にまで縮減することができました。債務返済能力の指標であるNET有利子負債/EBITDA倍率は0.7倍と、財務健全性も十分な水準まで改善いたしました。今後も、将来の“まち化”に向けた大型投資を見据え、財務基盤の構築を計画的に推進してまいります。