“think good”の取り組み事例
SUSTAINABILITY
2025.10.28
その他事業での取り組み
#地域社会との共創 / #環境への取り組み
三越伊勢丹第1MDグループ リーシング部は、百貨店で培った目利き力と幅広いネットワークを活かし、商業施設やイベントに適したテナント誘致を行っています。
近年、消費者は品質・価格・利便性に加え、環境配慮や地域貢献といった社会的価値を重視するようになってきました。こうした背景を踏まえ、リーシング部では環境問題や地域課題の解決を重視したお取組先を積極的に誘致し、商業空間を「人と社会をつなぐ場」へと進化させることを目指しています。
商談を重ねる中で、飲食事業者から「食を扱う者としての責任」や「現場の課題解決」に関する声を多く伺い、テナント誘致側として事業者の想いに寄り添い、共に課題解決に取り組む姿勢がこれまで以上に求められていることを強く認識しました。株式会社三越伊勢丹が運営するFOOD&TIME ISETAN YOKOHAMA/OFUNAのコンセプト“TIME with FOOD”は、来店者の生活に食が寄り添うことを掲げています。この考えをテナント誘致方針に反映し、集客や売上の最適化に加え、環境配慮や地域貢献を選定基準の中心に据えました。
長野の八百屋「大澤屋」が手掛ける<やおりんカフェ>は、形や色が規格に合わないりんごを活用し、りんご飴やジュースとして価値化するブランドです。リーシング部の担当者は、農家と契約して風雨で落果したりんごまで買い取る仕組みが生産者の収入向上につながる点に共感し、ビジネスモデルとしての可能性を高く評価しました。
商談を通じて契約農家とも直接対話し、規格外品活用が食品ロス削減と生産者の収入安定に寄与していること、商品の品質や経営者の想いに触れたことも後押しとなり、FOOD & TIME ISETAN OFUNAへの出店につながりました。
出店に際しては環境配慮を重視し、前テナントの内装資材を再利用する設計調整を行いました。新装工事で生じる廃材を最小限に抑えるなど、出店プロセス自体でも環境負荷の低減に努めました。
2025年3月1日(土)・2日(日)には、FOOD & TIME ISETAN OFUNA主催で大船近隣の小学生以下を対象としたフードロス食育ワークショップを開催。合計10名が参加し、りんご飴づくりの体験と規格外品の活用や農家支援に関する学びを組み合わせたプログラムを実施しました。約5㎏の規格外りんごを用いた飴つけ体験やクイズ形式での紹介により、子どもたちが楽しみながら取り組みの意義を理解できる構成としました。
SDGsを学校で学ぶ子どもからは「商品を買うことで農家を支援できる」といった気づきが得られ、保護者からの関心や質問も多く寄せられました。
イベント期間中の1日売上は通常の約2倍となり、地域での認知拡大とブランド信頼の醸成にも寄与しました。
リーシング部の担当者が食品展示会で出会った韓国のBATT社が手掛ける<カムジャバト>。規格外のジャガイモを活用し、本物のジャガイモのような見た目のパンを提供するブランドです。
廃棄されるはずの野菜に付加価値を与える点と、日本市場では未体験の味・食感が評価され、日本での初出店誘致を決定しました。
現地の文化や商慣習を尊重しつつ、日本市場での展開を成功させるため、社内の関連部署やグループ店での開催を担う株式会社レオマートと密に連携しました。翻訳や丁寧な説明・調整を重ね、認識の齟齬を防ぎながら約5か月の準備期間を経て、2025年4月、FOOD&TIME ISETAN YOKOHAMAに日本1号店を常設オープンしました。韓国で人気のグルメが日本でも楽しめることから、連日多くのお客さまにご来店いただいています。
社会課題に取り組むブランドの活動をグループ全体に共有するため、伊勢丹新宿本店の食品営業部、株式会社レオマートと連携し、期間限定イベントや常設出店を推進しています。
<やおりんカフェ>と<カムジャバト>は、2025年8月に伊勢丹新宿本店地下1階で開催された催事「おいしい、うれしい、フェス縁日」に出店し、いずれも多くのお客さまから支持を得ました。さらに<カムジャバト>は名古屋三越栄店にも期間限定出店したほか、今後も全国のグループ百貨店での期間限定イベントが決定しています。
<やおりんカフェ>の担当者からは、「常設出店や催事、食育イベントを通じて、食品ロスへの取り組みの認知が広がり、子どもから保護者まで理解を得る機会が増えた。今後ブランドの信頼性や愛着がさらに高まることが期待できる。」、<カムジャバト>の担当者からは「日本進出にあたり、いつかは出店したいと考えていた伊勢丹新宿本店で、自分たちの食品ロスに対する理念を伝えることができて良かった。」というお声をいただきました。
三越伊勢丹グループのお客さまアンケートでも関心が高かった食品ロス削減に取り組むブランドの活動が各地のお客さまにも届くことで、事業者の販路拡大やブランド価値向上につながっています。
担当者コメント
株式会社三越伊勢丹 第1MDグループ リーシング部
FOOD&TIME ISETAN YOKOHAMA/OFUNA リーシング担当
坂本 明彦
※所属は2025年10月時点のものです。
「規格外品の活用や食育イベントの事例は、お取組先の想いをお客さまに届け、社会課題の解決に寄与するとともに、豊かな暮らしにつながると考えています。今後は地産地消やお客さま参加型のプログラムをさらに拡充し、持続可能な食の循環づくりに取り組んでいきます」
三越伊勢丹第1MDグループ リーシング部は、百貨店で培った目利き力とグループ内外のネットワーク、分野別の専門性、そして実務遂行力を活かし、食品分野を起点に社会課題の解決と商業施設の価値向上の両立を目指します。得られた知見や成功事例は社内で共有し、他地域・他店舗へ横展開することで、地域と消費者をつなぐ場づくりを支援していきます。