“think good”の取り組み事例
SUSTAINABILITY
2025.10.24
百貨店業での取り組み
#地域社会との共創 / #文化の継承と革新
旧東海道のまちには、地域ごとに育まれた伝統文化や技術が今も息づいています。職人の繊細な手仕事や、土地で長く愛されてきた味わい、暮らしを映す品々など、積み重ねられた歴史や価値は今日まで受け継がれてきました。しかし、地域外の人々や若い世代がこうした伝統の存在や価値に触れる機会は、まだ十分とはいえません。
株式会社名古屋三越のラシックでは開業20周年を迎える節目に、地元の素晴らしさを再発見していただく機会として、2025年4月16日(水)~4月22日(火)の期間に「東海道マーケット(有松・知立・岡崎編)」を開催しました。愛知県の伝統技術や味に焦点を当て、地域のショップやクリエイターを誘致。伝統技術の体験や旧東海道の歴史紹介を通じ、地域文化の魅力を広く発信しました。
愛知エリアの伝統産業は、長年にわたり地域の文化を支えています。各生産者が時代に合わせた商品開発を進めている一方で、関わる方々の高齢化の進行や、プロモーション手段がアナログに偏りがちなことから、認知が広がりにくい状況が続いています。こうした状況を踏まえ、ラシックはファッションビルならではの感度を活かしたプロモーションを実施。トレンドに敏感な若い世代へのアプローチで、地域のモノづくりの魅力発信に努めました。
本イベントは、昔からの製法を守る「食」、伝統工芸を現代の感性にフィットさせた「物販」、そして、ワークショップで体験しモノづくりの奥深さを知る「体験価値」の3軸で構成し、見る、買う、体験する機会を通じて来場者の理解を深め、地域文化の継承と地域経済の持続につなげることを目的としました。
東海三県に住んでいる多くの人が一度は耳にしたことのある「八丁味噌」「あんまき」「有松絞り」にクローズアップし、中でも伝統を守りつつ時代とともに進化し、ラシックの取り組みにも共感してくださった企業に出店依頼をしました。単なる商品展示にとどまらず、職人や生産者との対話、ワークショップ、背景を伝えるショートムービーを組み合わせることで、来場者が「なぜこの技・味が地域にとって大切か」を体感できるイベントです。
「食」では、江戸時代から380年変わらぬ伝統製法で造られている岡崎市の<カクキュー八丁味噌>をご紹介。会場には直営店や岡崎市内でしか購入できない商品が並んだほか、味噌を仕込む様子の写真や「味噌桶の底板」の実物展示も行い、生産背景をよりイメージしやすくするよう工夫しました。
会場には、有松絞りのご当地キャラ「しぼりーちゃん」も登場。「しぼりーちゃん」との交流を通じて、お子さまから若い世代の方まで有松絞りに興味をもっていただくきっかけとなりました。
「体験価値」では、<cucuri>の端切れを使用したワークショップや、本イベント限定で直営店でも行っていない八丁味噌の量り売りを実施。来場者が実際に手を動かしたり、生産者とコミュニケーションができる場を設けることで、生産背景や商品の特長を丁寧に伝える工夫をしました。その結果、<カクキュー八丁味噌>では、5年以上じっくり熟成させた「矢作大豆 八丁味噌」などの高価格帯商品も、暮らしや食にこだわる来場者から高い評価をいただきました。
旧東海道の歴史を浮世絵や写真で紹介する展示に加え、地域の伝統をより魅力的に発信するため、20代~30代のお客さまに響く映像などを用い、伝統が「昔のもの」ではなく「今も息づく文化」として身近に感じていただける工夫しました。
名古屋や東海三県の情報や文化を発信するWEBマガジンを編集している地元企業に依頼し、ショートムービーを制作。各生産地での撮影・取材により、生産背景や現代に合わせた進化を魅力的に伝えました。
このショートムービーは話題を呼び、新聞社や食品関連の媒体からの取材依頼につながりました。
会期中は出店者と来場者が直接言葉を交わす場面が多く見られました。特に有松絞りのワークショップでは親子連れが夢中で制作に取り組み、楽しみながら地域文化に触れる姿が印象的でした。出店者からは「ラシックの顧客特性により、付加価値の高いこだわりの商品にも反応があった」、来場者からは「地域の背景を知れて楽しかった」などのお声が寄せられ、認知拡大や今後の取り組みにもつながることが期待されます。
担当者コメント
株式会社名古屋三越 営業戦略部 店舗開発担当 山城一真
※所属は2025年10月時点のものです。
「ラシック20周年という節目に、地元の魅力を再発見していただきたいという思いから本イベントを企画・実施しました。日本の伝統は、時に古く見られることもありますが、名古屋三越ラシックのフィルターを通すことで、現代的で洗練された印象に仕上がり、より多くの方に届いたと実感しています。今回の取り組みで得た知見を元に、静岡の旧東海道から日本橋までつなぐ展開を目指します。」
今回の取り組みは、株式会社名古屋三越が長年にわたり磨いてきた販売・企画・広報における運営力と発信力を活かし、若年層への認知拡大、伝統産業の継承支援、生産者との信頼構築につなげました。イベント運営で蓄積したプロモーション戦略や映像制作のノウハウは、今後の地域連携イベントや新規プロジェクトにも活用していきます。
お問い合わせ先:株式会社名古屋三越 ラシック