“think good”の取り組み事例

SUSTAINABILITY

ファッションの未来を紡ぐアップサイクルプロジェクト「ピースdeミライ」

2025.07.16

百貨店業での取り組み

#環境への取り組み

私たちの毎日を彩るファッション。しかし、その裏側では、余剰在庫やサンプル生地、役目を終えた素材など、様々な資源が積み重なり、行き場を失っています。これらの廃棄物の増加は、ファッション業界全体が直面する深刻な課題のひとつとなっています。三越伊勢丹グループはこの現状に真摯に向き合い、ご賛同いただいたお取組先やブランドと協働し、課題解決に取り組んでいます。

 

2022年度には、お取引先が所有するデニムのユーズドストック(着用されたデニムパンツ・デニム生地)を活用した「デニムdeミライ」プロジェクトがスタートしました。2023年度からは取り組みを拡大し、企業やブランドからサプライチェーンの過程で生じた残反や廃棄予定の素材を提供いただき、それらを「ピース」として新たな価値を持つアイテムへとアップサイクルするプロジェクト「ピースdeミライ」に取り組んでいます。

 

2025年4月には「ピースdeミライ」の第3弾を開催し、リーバイス®のユーズドストックやマリアケント社のサンプル生地、尾州産地の残糸を利用した生地や開発反(試作用生地)、合成皮革(アップルレザー)など、多様なアップサイクル素材やリサイクル素材を活用した商品を展開しました。さらに、次世代を担う学生との協業にも取り組み、ファッションの新たな可能性を切り拓いています。

ファッション業界が直面する資源循環の課題

ファッション業界では、常に新しいトレンドが生み出され膨大な量の衣料品が生産される一方で、売れ残りや余剰在庫、サンプル生地、規格外素材など、多くの資源が十分に活用されずに廃棄されているのが現状です。

 

三越伊勢丹グループは、百貨店としてファッション業界のサプライチェーン全体に深く関わる中で、こうした課題を身近に感じてきました。「大量生産・大量消費」型のビジネスモデルから「循環型社会」への転換が、業界全体の持続可能な未来に不可欠であると考えています。

 

「新しいファッションを発信し、お客さまにワクワクする体験を届けたい」という想いを大切にしながら、その想いを次世代へと紡いでいくために、私たちにできることを追求してきました。その結果、当社ならではの幅広いネットワークを活かし、サプライチェーンの上流にも働きかけるプロジェクトを行っています。

「ピースdeミライ」第3弾、多様な素材とパートナーが集結

2025年4月の「ピースdeミライ」第3弾は、伊勢丹新宿本店だけでなく、ジェイアール京都伊勢丹や高松三越でも開催され、これまで以上に幅広い素材や多様なパートナーが集結しました。

 

リーバイス®のユーズドストックは、ジーンズ特有の風合いや個性を活かし、リメイクによって新たなプロダクトとして生まれ変わりました。マリアケント社のサンプル生地は、その独自の色柄を活かし、小物やアクセサリーにアップサイクル。さらに、日本有数の毛織物産地である尾州の残糸を利用した生地や開発反も、上質なテキスタイルの魅力を活かしたファッションアイテムになりました。

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リーバイス®のユーズドストックのデニム生地をアップサイクルした<FACETASM>のジャケット

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<Shirley Temple>のアーカイブプリントの残布と、リーバイス®のユーズドストックのデニム生地を組み合わせたバッグとヘアアクセサリー

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マリアケント社の生地を数枚組み合わせた<AKIKOAOKI>のシューズ

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尾州ウールを活用した<DÉPAREILLÉ>の婦人服


さらに、廃棄されるはずだったリンゴの搾りかすを原料にした合成皮革(アップルレザー)を用いた雑貨も展開し、環境負荷の低減と新たな価値創出を実現しています。


これまでに150以上のブランドが参加し、各ブランドの個性やデザイン性を活かしたアップサイクル商品やコラボレーションアイテムが生まれ、多くのお客さまやファッション業界などからも共感を呼んでいます。

「ピースdeミライ」担当者からの声

「ピースdeミライ」には、実際に素材を提供する企業や商品化を手がけるブランド、そして運営を担う三越伊勢丹グループのスタッフなど、さまざまなメンバーが携わっています。それぞれの立場から、この取り組みに込めた思いや、現場で直面した課題、そして感じているやりがいについてご紹介します。

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(株)ヤマサワプレス代表取締役 山澤亮治さん

アパレル業界で大量廃棄の現実を目の当たりにし、未来の世代に何か残せることを考えて、リサイクルやアップサイクルに取り組むようになりました。
今回はユーズドのリーバイス® 501®のリメイク工程で出た端材を粉砕して糸に戻し、新たなデニム生地をつくることにも挑戦しました。色や繊維の不均一さに苦労しつつも、リサイクル素材は新しい価値を生み出す原点だと感じています。
今後も服づくりを通じてサステナブルな未来を提案していきたいです。

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ヴィヴィアン・ウエストウッド

「Buy Less, Choose Well, Make It Last(良いと思えるものを選び、本当に必要なものだけを買い、それを長く使うこと)」というブランド理念のもと、リサイクル素材を使ったデニムカプセルコレクションを伊勢丹新宿本店で発表しました。
<ヴィヴィアン・ウエストウッド>の環境・人権への思いと、「ピースdeミライ」のビジョンが共鳴。廃棄デニムを再生したヤマサワデニムや環境負荷の少ない技術を使い、象徴的なアイテムを再構築。空間演出にもアップサイクル素材を活用しました。

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(株)三越伊勢丹 第2MDグループ グループMD部 MD担当
真下 郁未
※所属は2025年7月時点のものです。

今回の「ピースdeミライ」では、ピースの活用を通じて循環型社会の構築や廃棄物削減につなげるという企画の目的を何より大切にしました。多くの関係者が関わる中で、それぞれの目標や立場を理解し、目的を繰り返し共有することに注力しました。サステナビリティへの意識を高めるきっかけとなるよう、今後も分かりやすいイベントや取り組みを通じて活動を広げていきたいと考えています。
3年連続で継続してきたこのプロジェクトを、さらに多くの仲間や関係者とともに発展させていきたいと思います。

次世代とともに資源循環について考える「三越伊勢丹ミライアワード」

「ピースdeミライ」では企業だけでなく、次世代を担うファッションスクールの学生とも協業し、(株)ヤマサワプレスの所有するユーズドデニムを使った作品づくりに取り組む「三越伊勢丹ミライアワード」を開催。若い世代の自由な発想や創造性が加わることで、従来の枠にとらわれない新たなアイデアや価値が生まれています。このアワードを通じて、学生たちは資源循環について自ら考え、発信する貴重な経験を得ています。

 

学生が制作した作品は、実際に伊勢丹新宿本店のショーウインドウで展示され、学生のモチベーション向上や社会的にも大きなインパクトを生み出しています。

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伊勢丹新宿本店のショーウインドウに展示された作品

テキスタイル展への初出展で広がる「ピースdeミライ」の輪

「ミライアワード」をきっかけに、若手デザイナー向けアワードを多数開催するJFW(一般社団法人日本ファッション・ウィーク推進機構)が主催するテキスタイル展「第1回 Tokyo Textile Scope 2026 Spring/Summer」に出展しました。会場では、素材メーカーをはじめとしたさまざまな企業の方々から、個社単独では難しい認知度の向上や、社会的意義のある活動を連携して推進したいという期待の声も寄せられました。また、本取り組みは新聞各紙で紹介され、百貨店の枠を超えた規模で社会的な注目を集めています。さらに、学校や学生からの参加希望も増加しており、今後のさらなる広がりが期待されています。


今後も「ピースdeミライ」の活動を通じて、社会課題の解決や循環型社会の実現に貢献するとともに、業界全体を巻き込んだ取り組みをさらに推進してまいります。

 


第2回 三越伊勢丹ミライアワード 次世代ファッションを担う学生たち~ユーズドデニムが新しい洋服に生まれ変わるまで~

前編: https://www.mistore.jp/shopping/feature/shops_f2/st_piecedemirai7_sp.html

後編: https://www.mistore.jp/shopping/feature/shops_f2/st_piecedemirai9_sp.html

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