対談・インタビュー

SUSTAINABILITY

【インタビュー】サプライチェーン・マネジメント教育で実践力を高める — 共通の判断軸と運用の仕組み

2026.07.22

サプライチェーン・マネジメント

#サプライチェーン・マネジメント / #社内体制の構築と推進 / #お取組先との連携

 

2023年度から継続実施しているサプライチェーン・マネジメント教育は、百貨店バイヤーを起点にグループ会社へ対象を拡大しています。2026年度は会場とオンラインを組み合わせたハイブリッド形式で実務担当者を対象とした集合教育を実施し、人権デュー・ディリジェンスを中心に、調達実務者が必要な知識を体系的に学べる内容としました。

今回は、サプライチェーン・マネジメント教育担当者に、研修の目的と期待する効果、運用面の工夫を聞きました。

 

― サプライチェーン・マネジメント教育の目的と必要性を教えてください。

 

サプライチェーンのリスクは現場から見えにくく、ひとつの問題が「商品が入らない」「品質に影響が出る」「ブランド信頼が損なわれる」といった形で事業全体に波及します。全体を見渡してどこにどんなリスクが潜むかを把握し、適切に管理しながら調達を進める力が求められます。サプライチェーン・マネジメント教育は、事業を安定的に継続し、社会から信頼されるための必須条件です。

 

― 教育の内容を教えてください。

 

教育では、サプライチェーン・マネジメントの基礎、代表的な人権・環境リスク、当社方針・お取組先行動規範、対話手順、リスク発生時の対応フローを体系化してお伝えします。

当社グループは2025年度に約3,800社へ調達アンケートを実施し、約1,600社から回答を得ています。その結果を基に、対話対象とするお取組先さまの優先順位付けや教育内容の改善を行っています。

 

― 自分の業務との関係を、どのように伝えていますか。

 

私は今年度からサステナビリティ推進部に着任しました。これまでの現場経験を踏まえて「実務で使える判断軸」を分かりやすく伝えることを心掛けています。当社グループは多様な業種で成り立っており、建築・金融・物流・旅行など各事業の業務がサプライチェーンの一部となります。たとえば建築は資材調達や現場の安全衛生、金融は取組先のコンプライアンス、物流は配送と労働条件、旅行は地域の労働環境や環境負荷など、各分野の対応がサプライチェーン全体のリスクに直結します。各自が自部署の業務フローで、リスクや課題に気づき、適切に共有・対応することが重要だと伝えています。

 

― 受講後に、具体的にどのような行動を期待しますか。

 

自部署におけるサプライチェーン上のリスクや社会課題が潜みやすい箇所を洗い出し、対話計画を立てて実行することを期待します。対話は「事前準備(対話先の選定・確認事項の整理)」→「対話実施(当社の取り組みの説明・ヒアリング)」→「フィードバック(記録・申し送り)」の流れで進めます。対話で把握した内容は記録し、必要に応じて上長や関係部門へ報告・相談(エスカレーション)します。そのうえで、是正措置の合意と対応期限を設定し、フォローまで責任を持って対応することが重要です。この一連のプロセスを組織として継続的に実践できる状態を目指します。

 

― 教材や運用面での工夫はありますか。

 

判断軸を共通化するため、方針・行動規範・対話の要点・リスク発生時の対応フローをパッケージで提供しています。受講後は要点スライド、対話深堀りヒアリングシート、工場チェックシートを配布し、部門でそのまま展開できるようにしています。また、対話の後はフィードバックシートでスコアとコメントを整理し、ワーキンググループで課題を共有するとともに、是正アクションの検討・改善につなげます。また、人権救済の外部窓口(JaCER)についても周知し、外部対応の導線を整備しています。

 

― 今後の展望を教えてください。

 

研修で得た判断軸を業務に根付かせ、リスク検知と是正の実行力を高める仕組みを確立します。定期的な対話の継続と記録・是正までのフォローのPDCAサイクルを継続的に運用し、持続可能な調達体制を強化していきます。

 

まとめ

本教育は、方針の理解にとどまらず、対話・記録・是正・フォローまでを自部署で実行するための「共通の判断軸」を提供するものです。グループ全体で責任ある調達の実効力を高め、サプライチェーンの信頼性と透明性を強化することで、お取組先との信頼関係の構築と企業価値の向上につなげていきます。

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