対談・インタビュー
SUSTAINABILITY
2026.06.30
サプライチェーン・マネジメント
#サプライチェーン・マネジメント / #社内体制の構築と推進 / #お取組先との連携
三越伊勢丹グループでは、持続可能なサプライチェーンの実現に向け、一次サプライヤーに加えて、PBを含む当社の説明責任が高い商品の二次サプライヤーにまで現場確認を強化しています。
2025年度には、自社開発商品を対象とした「工場内部監査のフロー化」を進め、労働環境や安全衛生の実態を把握し、是正と改善につなげる仕組みの試行を開始しました。今回は、この取り組みに携わった担当者に、工場視察の重要性と実際に現場で得られた気づきを聞きました。
― 工場内部監査をフロー化する背景を教えてください。
国際的に人権尊重の重要性が高まり、サプライチェーン上の労働問題は企業の法的リスクおよびレピュテーションリスクに直結します。書面やアンケートだけでは実際の運用や実態は把握しにくく、優先度の高い課題を見極めて是正するために、監査を一連の業務フローとして定着させる必要性を認識しています。自社開発商品はブランド価値にも直結するため、製造、加工現場の安全衛生や労務管理を直接確認することが重要であると認識しています。
「工場内部監査のフロー化」運用スタートに先立ち、2026年1月には担当バイヤーとともに、工場視察に同行しました。
― 工場視察は、どのように進めていますか。
視察は「準備(事前確認)→現場確認→証拠書類の確認→報告・是正→再確認」の流れに沿って実施しています。当日の確認精度を高めるため、事前にバイヤーからお取組先へ「工場チェックシート」を送付します。
主な確認事項は「労働におけるビジネスと人権」と「安全衛生」で、重大・重要・一般の多層的に優先度を判定できる設計にしています。設問は「当てはまる/当てはまらない」で回答でき、スコア化により定量的に評価しています。回答受領後に内容を精査した上で、工場訪問時の確認事項を整理。視察当日は目的を説明したうえで、人権方針や教育の運用を確認し、ライン・設備・標識・衛生をチェックリストに沿って写真とともに記録し、従業員へのヒアリングも実施しています。現場確認後は、証拠資料(エビデンス)を確認し、懸念点についてはその場でフィードバックを行い、是正に向けた対話と是正期限の合意につなげています。
― 視察を踏まえた感想や具体的な改善点はありましたか。
チェックシートだけでは把握しきれない労働環境や安全衛生の運用、従業員同士の日常的なやり取りなど、現場ならではの状況を確認することができました。実際に目で確かめ、写真で証跡を残すことで、当社の安全・安心への取り組みに対する信頼性の向上につながると考えています。
一方で、運用面における課題も明らかになりました。現場では撮影やヒアリングが中心となり、想定より記録に十分な時間を割けないことも分かりました。そこで、事前に確認できる項目を工場チェックシートへ追加するとともに、当日は簡易チェックに絞り、スマホで即入力できる運用も含め検討を進めています。
― 今後の展望を教えてください。
まず、自社開発商品を優先しつつ、将来的にはお取組先と協力して主要な二次サプライヤーまで監査対象を段階的に拡大していきます。あわせてお取組先への支援も行うなど、持続可能なサプライチェーンの構築に貢献していきます。
まとめ
工場内部監査のフロー化は、準備・現場確認・是正・再確認のPDCAを定着させ、書面では見えない課題を現場で可視化し改善につなげる仕組みです。お取組先と協働し、リスク低減と品質・労働環境の向上を図り、持続可能で信頼性の高いものづくり基盤を強化します。これにより、サプライチェーン上のリスク低減とブランド価値の維持・向上を両立し、当社グループの持続的成長に寄与していきます。