INVESTOR RELATIONS
社外取締役 取締役会議長
越智 仁
2022年~2024年度において三越伊勢丹グループは再生フェーズをおおむね完了し、2025年度から成長に向けて“まち化準備フェーズⅠ”が始まりました。取締役会は、三越伊勢丹グループの将来の方向性を明確にし、全責任をもって業務執行を的確かつ迅速に進められるようリスクテイクを後押しし、重要なアクションのモニタリングを通して監督の強化を行うことで、企業価値の向上に努めてきました。株式市場では、構造改革による損益分岐点の改善、顧客層の識別化と高感度上質商品による収益力強化を通してROE8%以上の達成と個客業への変革による成長の方向性の明確化に好感を示し、株価を押し上げています。
2025年度は取締役会での自由闊達な議論を通して、“館業から個客業への変革”の方向性を明確にし、中でもこの推進力となる人財戦略やDX戦略の議論を深め、2030年のあるべき姿に向けフェーズⅠからⅡのアクションプランや資源配分について具体化を進めました。特に人財育成は、当社の将来を左右する重要事項であり、従業員、経営層ともに、より高度な人財とすべく検討のさらなる深掘りを要求し、2026年度においても議論を継続していくこととしています。
2026年度は中期経営計画2年目ということで、“個客業への変革”の実現に向けた生涯顧客拡大へのアクションプランと、個客ニーズに沿った新商品・サービスをつくり出す“連邦”戦略の具体化を十分に議論していく予定です。特に連邦戦略は単なる連携ではなく価値の新たな創造を生むことを意味しており、ポートフォリオ議論も含めさまざまな角度から議論を深めたいと考えています。一方、成長を支える重要なポイントがガバナンスです。日本企業の中にはガバナンス上の大きな問題を引き起こしている企業もあります。当社は指名委員会等設置会社という機関設計であり、重要な経営項目の議論、経営陣の選解任、経営の評価や報酬制度、監査活動において、透明性、客観性は非常に高いと思います。
しかし、さまざまな構造改革を行ってきたこと、これから成長戦略でより有機的な“連邦”戦略を行っていくことを鑑み、ガバナンスについては一度精査が必要だと考えています。このため、2026年度の重点議論として、組織形態と戦略の整合性、内部統制システムの機能と責任について精査する予定です。また、2025年度に策定された人財戦略のさらなる深掘りも重要な項目で、個客業を進化させる上で必要なスキルと創造力をどう開発するのか“連邦”戦略と関連付け、方向性を明確にしていきたいと考えています。
企業価値向上には、的確、迅速な執行と取締役会による監督の両輪がしっかりと機能する必要があります。このためには、取締役会・法定3委員会の監督機能についてもしっかり評価することが重要です。当社では毎年年度末にかけて実効性評価を行っています。8項目66設問のアンケートに全ての取締役が答え、これをベースに改善された点、今後改善すべき点や議論すべき点を抽出し、次年度の取締役会・法定3委員会の活動計画に落とし込んでおり、さらに客観性を担保するため、定期的に外部のコンサルタントを入れ評価を行っています。実効性は年々改善されていますが、やはり重要な改善点は、永遠のテーマですが、執行側と独立社外取締役側の情報の非対称性の解消です。議案の事前説明の充実は当然であり、日ごろからの執行役と独立社外取締役とのフリーディスカッションによる相互理解や事業会社の視察による現場理解をさらに深めることが重要だと思っていますし、IRなどを通して投資家の意見にも積極的に耳を傾けていこうと考えています。取締役会議長として取締役会でいかに自由闊達な議論を進めていくかが、私に課せられた重要な責務であり、これらを通して課題の抽出、解決を図り、さらなる企業価値の向上を成し遂げていきたいと考えています。