INVESTOR RELATIONS
社外取締役 取締役会議長
越智 仁
三越伊勢丹ホールディングスは、2020年に指名委員会等設置会社に移行し、取締役会の役割は執行の監督と大局的な視点からの方向性の決定により、客観性と透明性を持つガバナンスの強化と業務執行の迅速化による成長戦略の早期実現を目指してきました。取締役会には経営陣の体制を考える指名委員会、報酬を考える報酬委員会、内部統制等を考える監査委員会があり、執行と監督という明確な区分がなされた体制となりました。国内小売市場が縮小するなかで三越伊勢丹グループが事業構造を変え新たな成長モデルを生み出すためには、事業リスクを評価し執行を強くサポートする取締役会が必要と判断し、当時このように経営体制を刷新したのではないでしょうか。故に取締役会は常にあるべき姿を求め毎年取締役全員で8項目・66設問のアンケートをもとに実効性を評価し改革を進めてきました。こうして百貨店の科学をもとにした構造改革や識別化とともに“高感度上質”戦略を進めたことによる業績の回復と新たな成長の達成は、細谷社長の構想力と実行力、そして取締役会の後ろ盾があったからではないかと感じています。
今、三越伊勢丹グループは新たなフェーズに入ってきています。従来の“館業”から“個客業”へ変革し、さらに“まち化”という新たな集客体制を構築する長期戦略を考えています。想像を絶する情報システムやAIなど科学の進化が今後どのように市場を変えていくのか、また、将来の小売業の在り方にどう影響を与えるか、また一方で、米国第一主義のもとで、世界景気減速、地政学上の問題、金利為替のリスクなど、世界がどうなるか先が見通せない状況になってきています。こうした中、これからも三越伊勢丹グループが持続可能な成長を遂げるためには、細谷社長が推し進めているお客さまの識別化は必須であり、三越伊勢丹グループが持つ文化、経験、知識をベースとしたデータ解析による新たな商品、サービスのセレクション、クリエーションが重要であります。またそれを実現するための基盤戦略(人財の育成、高度情報システムやAIの開発、財務戦略)を、事業戦略と同時に推し進め、実現することが不可欠であると思います。
このような状況で、新たな中期経営計画がスタートしました。2025年度の取締役会では、「“個客業”への変革を適切に後押しすべく自由闊達で建設的な議論を行いステークスホルダーの期待に応えること」を目指しています。取締役会は、“個客業”への変革に向けた大局的で多角的な議論を行うことで将来の方向性とリスクの評価を行い、個別事業の現況を捉えつつ、各事業や戦略を下支えする基盤戦略と、シナジー効果を高める重点戦略の充実へ後押ししながら、“個客業”の蓋然性を高める方針です。このため、期初における中長期経営計画の前提の評価・目線合わせ、“個客業”に向けたアクションプランの明確化、事業や戦略の課題・リスクについてより踏み込んだ議論を進めていく予定です。
株主総会後、三越伊勢丹ホールディングスの取締役会議長となり、私自身としては、中期経営計画の実現に向け、執行と取締役の情報の非対称性を埋め相互理解を高めるために、社外取締役とCXO、各社経営幹部、若手とのコミュニケーションの充実を最重要と考え取り組んでいきます。