デパカチ

仕入構造改革とNUMBER TWENTY-ONE お客さまの声を原動力に、新たな価値を持つ商品を自ら生み出す。

百貨店が抱えていた課題

三越伊勢丹を含む百貨店業界全体の業績は、90年代をピークに低迷を続けています。その背景には、多様化するお客さまの価値観に対応できず、お客さまが「欲しいとき」に「欲しいモノ」をご提案することが難しくなったこと、店舗の同質化と収益性の低下などがあります。こうした状況を打破すべく、三越伊勢丹はひとつの「改革」に着手しました。

NUMBER TWENTY-ONE

三越伊勢丹の「仕入構造改革」

2011年、三越伊勢丹は「仕入構造改革」を開始しました。これは、お客さまの要望を的確につかんでスピーディに自主企画商品を開発する取り組み。これにより、三越伊勢丹ならではの独自性と価値を創出します。 具体的には、商品企画の提案に加え、三越伊勢丹で確保した素材を持ち込んでお取組先に製造していただいたり、商品を買い取り売り切る、といった手法です。三越伊勢丹としては、高い商品開発力と販売力が求められることになりますが、2014年度現在、「仕入構造改革」による売上シェアは約15%にまで伸び、大幅な成長を続けています。

「仕入構造改革」の成果

①価値の高い商品を自ら生産・開発する仕組みの構築
②他小売との差別化
③ベストセラー商品を安定的に供給できる体制の確立

④社内でのノウハウの蓄積と人材の育成
⑤販売力と収益性の向上

NUMBER TWENTY-ONE

このような「仕入構造改革」から生まれた三越伊勢丹オリジナルブランドの一つに、婦人靴の「NUMBER TWENTY-ONE」があります。お客さまの声を活かした商品づくりが好評で、特に伊勢丹新宿本店、銀座三越では、靴の販売数で約10%を占めるまでに成長しています。

百貨店が抱えていた課題

2015年2月には、「NUMBER TWENTY-ONE」の靴が韓国・新世界百貨店で発売されました。これは、三越伊勢丹が掲げる「仕入構造改革」の成果について、新世界百貨店の担当者に共感いただいたことで実現しました。韓国でもお客さまの評価は高く、販売開始から2週間ほどで完売するモデルもあるなど、予想をはるかに上回る売行きを見せています。
3月には、上海、クアラルンプールの伊勢丹でも販売されるなど、今後もアジアを中心に海外への進出を目指しています。

韓国・新世界百貨店で販売される「NUMBER TWENTY-ONE」の靴。

「NUMBER TWENTY-ONE」バイヤー 宗友良諭より

お客さま、お取組先、スタイリストのすべてに「共感」いただける靴を作りたい

【商品づくりについて】
「NUMBER TWENTY-ONE」の靴づくりは、お客さまの声に耳を傾けることが大きな原動力。婦人靴のお買場にいるシューカウンセラーからお客さまの声を集めるのはもちろん、私自身もお買場に立ち、今お客さまがどんな靴を求めているかを伺っています。
どんな靴を作るか大枠が決まると、その靴づくりに最も適したお取組先とデザイナーさんの組み合わせを考えます。それぞれに得意な靴、不得意な靴があるので、このマッチングを決めることも私の大事な仕事です。

【試行錯誤の末に完成した8cmのハイヒール】
「高いヒールを探しているが、足に合うものがない」というお客さまの声から、8cmのハイヒールを作ることになったときのことです。 8cmというのは、履く人が限られるかなりの高さなのですが、私たちは「シルエットの美しさ」と「履きやすさ」という、矛盾する2つの課題をクリアすべく試行錯誤しました。お取組先には何度もサンプルを作っていただき、お買場のスタイリストにも実際に履いてもらって意見をもらいました。
通常の倍以上となる約6ヵ月の期間を経て完成したハイヒールは、デザイン性と履きやすさの両面から、お客さまの支持をいただける商品となりました。大変なことも多かったですが、私としては特に思い入れの強い商品の一つとなりました。

宗友良諭インタビュー
「シルエットの美しさ」と「履きやすさ」を実現した8cmのハイヒール。

【成功の要因と今後の展望】
このブランドの成功の要因としては、私たちの取り組みに共感・協力いただくお取組先の数が増えたことで、作れる靴の幅が広がり、品質も高まったことが挙げられます。また、お客さまの声を吸い上げる過程で、スタイリストたちが“自分も商品づくりに携わっている”という意識が生まれ、取り組みに共感し、ブランドを好きになってくれたことも要因の一つだと思います。
今後は、アーティストや著名人とのコラボ商品などを通じて、さらに話題を発信していきたいです。そして、お客さまに「このブランドの靴をずっと履いていきたい」と思っていただけるような価値を常に提供するとともに、国内でも海外でも、私たちの靴に触れていただける場を増やしていきたいと考えています。

宗友良諭photo

宗友良諭

2005年 ㈱伊勢丹入社。新宿店1階で婦人服飾雑貨の販売やアシスタントバイヤー、アシスタントセールスマネージャーを経て2012年より現職。バイヤーになり仕事で訪れた国は、13か国に上る。

「NUMBER TWENTY-ONE」を製造するお取組先「デコルテ」の靴職人・北原未由希さんより

心を込めて丁寧に手づくりした靴を三越伊勢丹のお客さまにお届けしたい

当社はこれまで、セレクトショップやアパレルメーカーでの靴づくりをメインに行ってきたので、百貨店が直接手がけるブランドでアイテム展開するというのは初めてでした。
百貨店はお客さまの数が多いのはもちろん、目が肥えている方も多いので、靴の品質には特に気をつけています。まずは、履き心地の良さを大切にしながら、たくさんのブランドの靴が並ぶ店頭で、お客さまの手にとっていただけるような美しいシルエットやデザインであることにこだわっています。また、コラボレーションするデザイナーのこだわりを表現することも常に心がけています。
当社での靴の製作には、発注いただいてから完成まで90日ほどかかります。靴づくりには多くの工程があり、その工程ごとに担当する職人がいるので、一足の靴は幾人もの職人の手を経て完成します。さらに、お客さまに安心して長くお使いいただくために、多くの検品項目を設け、品質の確かなものだけを納品しています。お客さまには、私たち職人が心をこめて手づくりした靴の良さを感じていただき、大切に履いていただけたら嬉しいです。

 北原未由希さん靴の専門学校を卒業後、靴の製作を経て、現在は企画と営業を行う。カジュアル靴が得意分野。